仕事選びは「好き」と「得意」を分ける

「たった一度の人生なのだから、好きな道に進めばよい」とよく言われます。しかし「好き」だけでメシは食えません。私は「得意なところで勝負してください」と言っています。

「好き」と「得意」は一致することもありますが、しばしば異なります。

「得意なこと」は自覚していないことも多いもの。

そういうときは「人に繰り返し(あるいはいろいろな人から)褒めてもらえるところ」と言い換えています。

褒められ続けるということは、(よほどのお世辞を除いて)そこに“才能”があり、“存在意義”があることが多いのです。

その得意な領域にさらに磨きをかけることによって、“価値ある存在”あるいは“頼りになる人”になっていきます。

一方、「好きなこと」は趣味にとっておきます。

もっとも社会も時代とともに変化し、自分の社会的価値も変わっていきます。

就労する40年の間には必要とされる技能もずいぶん様変わりするでしょう。

好きなことをやって冷や飯を食うことになっても我慢できますが、価値があると睨んで好きでもないことに舵を切ったのに、実を結ばず立ち枯れになってしまったら情けなく思うかもしれません。

時代が変わっても変わらない内面的価値を持ちたいところです。

みんなで仲良く働くベンチャー企業のオフィス
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伝統芸能の世界や名家と呼ばれる家柄では、長男は生まれたときから跡を継ぐことが運命づけられています。

それに疑問や反感を抱いて家を飛び出してしまう人もいます。が、結局戻ってくることも稀ではありません。

好きではなくても、そういう家に生まれ、そういう環境で育つことによって自然に身についてしまっている素養も多いのです。

外の世界から入ってくる人に比べてかなりのアドバンテージです。

「そういう家に生まれ育つ」ことも“得意”の一つになります。

「返答は肯定形」をクセにする

窓口で顧客からクレームを受けることがあるでしょうが、このとき、否定形で「〜できません」と突っぱねるのではなく、肯定形で「こうすれば〜できます」と返した方がよいでしょう。

京大の学内向けの診療所に学生が就職活動のための診断書を取りに来ますが、ちょうど春の定期健診のまっただ中で休診となっていて個別の健康診断書を発行することができません。

このときに「発行できません!」と言われるとムッとしますが、「○月○日まで待っていただければ発行できます」とか「自動発行機だと、昨年の内容になりますが発行できます」「保健所に行けば、検査はやり直しになりますが作ってくれますよ」と返せば、要求には応えられないという点では同じなのですが、当たりはぐっとソフトになります。

部下への指導も、肯定文だと受け入れやすいのです。