喋るときは「手」にサポートさせる
欧米人は会話時によく手を使います。話者と聴者との距離を近くする効果があるようです。
動作なく口だけで喋るより、手を使って喋る方が喋りやすく内容も伝わりやすくなります。
よい状況を伝えるときは手の位置を上げたりきらきら星をしたりぐるぐる回したりし、よくない状況を伝えるときは手のひらを上向きにしたり腰に当てたりしますが動きはあまりありません。
話す内容に応じて表情も変えます。日本人は静止した状態で喋る人が多いのですが、遠慮や躊躇をせずに手を動かしてみるとよいでしょう。
手が雰囲気を伝え、喋る内容をサポートしてくれます。
話は人のためにするもの
「ねえねえ、聞いて聞いて」と、昨日の感動体験を得意げに人に話す人がいます。
本人は昨日感動したかもしれませんが、今日聞いている人はその話を面白いと思うでしょうか。
人の話は最後まで聞かないと面白いかどうかわかりませんし、人の話を途中で遮るのはなかなか難しいので、書かれたものを読むより話を聞くことの方が押しつけられ感が強くなります。
反対に自分の悩みを人に聞いてもらおうとする人もいます。親しい関係でちょっとした内容であれば会話の延長として許容されるかもしれませんが、深刻な話になると聞かされる側にそれなりの負担がかかります。
友人のトラブルに巻き込まれて疲弊してしまう人もいます。したがって、同僚・友人の会話では「自分が言いたいこと」を言ってはいけません。「相手が聞きたいこと」を喋るのです。
「相手が聞きたいこと」とは、「役に立つ情報」か「面白い話」かのいずれかです。
聞かされる側の身になって発言してほしいのです。
自分の悩みについても友人を巻き込むべきではないので、ちょっと込み入った相談であれば、“聞く”ことを仕事にしている人(カウンセラーなど)にしてほしいところです。
最近では会社が社外の相談窓口を用意してくれていることも多く、その相談内容は秘匿されます。
安心して話を聞く専門家に相談することも検討してみてください。
1954年岐阜県生まれ。名古屋大学医学部卒業。名古屋、東京、静岡での病院勤務の後、愛知県総合保健センターで健診・健康増進業務に従事。1993年より名古屋大学予防医学教室助教授、名古屋市役所産業医。1999年より京都大学保健管理センター(現環境安全保健機構)所長・教授、京都大学健康管理医(法人化後は総括産業医)。2020年よりフリーランス。著書に『臨床研究の教科書』『エビデンスをつくる』(医学書院)、訳書にM・ジェニセック『EBM時代の症例報告』(医学書院)など。日本産業保健法学会副代表理事。2016年に保健文化賞を受賞。