商流は下流に位置するほど社員待遇が悪くなる

3つの商流ともに、下流に位置する会社ほど社員の待遇が悪くなる傾向があります。商流的に上の会社の言いなりになりがちのため、値上げ等の希望が通らないからです。また、下流に近づくと個人客相手の事業となるので疲弊しやすく、さらに中間に位置する会社に利益を中抜きされることでブラック企業化しがちなのです。逆に商流が上流だと、中間に位置する会社に利益を乗せられることがないため、適正価格で取引でき、会社も儲かります。自動車業界を例にすると、細かい部品工場の下請けメーカーと、その中間メーカーと、元請けの自動車メーカーだったら、どの会社の待遇が良いかは分かりやすいと思います。

森田昇『年収300万円から脱出する「転職の技法」』(日本能率協会マネジメントセンター)
森田昇『年収300万円から脱出する「転職の技法」』(日本能率協会マネジメントセンター)

もちろん商流も、業界や会社と同じように例外的な流れはあります。「特許取得等でその企業でしか生産できない部品を取り扱っている」「スーパーエンジニアを複数抱える等でその企業でしかシステム開発できない」といったものですが、商流もまた転職先の業界・会社選びの参考にしていただければと思います。

ブラック企業の見極め方をまとめると、①その業界が稼げる業界なのか、②会社が出している求人票や口コミサイトの評判はどうなのか、そして③商流の位置がどこなのか。この3つを会社選びの判断軸としていただければ、確実にブラック企業の魔の手から逃れられます。

もし今の会社こそがブラック企業だと見極めてしまったのなら、これはもう転職のベストタイミングですね。

森田 昇(もりた・のぼる)
キャリアコンサルタント、中小企業診断士

一般社団法人リベラルコンサルティング協議会代表理事、あさみコンサルティングファーム代表取締役、ProsWork取締役、S取締役。1998年、大学卒業後、IT企業に入社。サラリーマン生活20年間で10回の転職を経験し年収300万円からの脱出を果たす。この転職法を紹介した再就職支援セミナーをハローワークで100回以上開催、2000人の転職と再就職の支援をする。著書に『売れる!スモールビジネスの成功戦略』(明日香出版社)がある。