夫の許可は不要、激しさより回数

録画や録音は、一番激しく怒っている時を押さえられなくても大丈夫です。それ以上に大切なのは回数です。1回より3回、10回と数が揃っていれば、モラハラが長期にわたってくり返し行われていたことの証拠になるからです。一つの確固たる証拠を取ろうとするより、小さな証拠を数多く残すようにしましょう。

ちなみに、証拠を取るための撮影や録音に夫の許可はいりません。隠れて記録したものでも、裁判所は証拠として採用します。

別居した後でも証拠集めは可能

証拠を集めるには別居前に動き出す必要があるわけですが、すでに別居中だったり、すぐに家を出ないと身の危険がある場合には、録音や録画は難しくなります。その場合でも、メールやLINE、電話などのやりとりから、夫婦関係が修復できない状況にあるとわかれば問題ありません。

例えば「戻ってこいと言うのなら子を叩いたことを謝ってください」というメールに対して「叩いたのは教育の一環だ」という返事が来ていたら、叩いたことを認めていると言えます。

別居後に大量の着信や暴言のメールを残すこともあります。相手はモラハラ夫です。必ずどこかにその片鱗は出るものなので、諦めないようにしましょう。

堀井 亜生(ほりい・あおい)
弁護士

北海道札幌市出身、中央大学法学部卒。堀井亜生法律事務所代表。第一東京弁護士会所属。離婚問題に特に詳しく、取り扱った離婚事例は2000件超。豊富な経験と事例分析をもとに多くの案件を解決へ導いており、男女問わず全国からの依頼を受けている。また、相続問題、医療問題にも詳しい。「ホンマでっか!?TV」(フジテレビ系)をはじめ、テレビやラジオへの出演も多数。執筆活動も精力的に行っており、著書に『ブラック彼氏』(毎日新聞出版)、『モラハラ夫と食洗機 弁護士が教える15の離婚事例と戦い方』(小学館)など。