イオンは「守り」、高島屋は「攻め」の投資

そんな割引優待ですが、もちろん、イオンや高島屋以外にも実施している企業はたくさんあります。

ただ、安心して持ち続けるには、株主優待だけでなく、その企業の将来性も大きなポイントなわけで、とくにこの2銘柄を選んだのは、その将来性もしっかり評価してのことです。

イオンは、国内首位級の大手総合スーパー。

景気の良しあしに関係なく、一定量の食料・日用品等は買わないと生きていけないので、スーパーはわれわれの暮らしに欠かせません。なので、全国展開するイオンは、もはや生活インフラといっても過言ではなく、いわゆる、景気に左右されない手堅いディフェンシブ銘柄としても有名です。

その意味では、「守り」の銘柄とも言えるでしょう。

それに対し、大手百貨店である高島屋は、「攻め」の銘柄と言えます。

なぜなら、高級品を多く扱う百貨店は、基本的には、景気が良くなれば売り上げは上がり、業績も向上するからです。また、コロナも落ち着き、インバウンド消費再来の兆しの中、その恩恵を大いに受ける銘柄でもあります。

株主優待を得つつ、しっかり守って攻める2銘柄、すなわちイオンと高島屋は、優待銘柄の「矛と盾」とも言えるでしょう。

優待のフル活用で投資資金は5年で回収できる

ちなみに現在の株価(100株単位)は、イオンは約28万円、高島屋は約20万円。

これは、割引優待をフル活用すれば(上限いっぱいまで買物をすれば)、イオンは5年、高島屋は3年程度で、元が取れてしまう計算なのです。

また、いずれの優待も、買物の割引だけではありません。

イオンでは、イオンイーハート(飲食店運営)やイオンシネマやなどで割引金額・優待料金となる特典もあり、高島屋では、高島屋各店で開催される有料催事(美術展など)に3名まで無料で入場できるという特典もあります。

そして、いずれも優待だけでなく、配当金もあります(イオンは年間3600円、高島屋は年間2800円/いずれも24年2月期予想)。

イオンや高島屋を普段からよく利用している人であれば、株主にならない理由はないのでは、と思うほどに、おススメしています。

藤原 久敏(ふじわら・ひさとし)
ファイナンシャルプランナー

1977年大阪府大阪狭山市生まれ。大阪市立大学文学部哲学科卒業後、尼崎信用金庫を経て、2001年に藤原ファイナンシャルプランナー事務所開設。現在は、主に資産運用に関する講演・執筆等を精力的にこなす。また、大阪経済法科大学経済学部非常勤講師としてファイナンシャルプランニング講座を担当する。著書に『株、投資信託、FX、仮想通貨… ファイナンシャルプランナーが20年投資を続けてみたらこうなった』(彩図社)など。