体力がある子ほど運動が好き
子どもの運動能力に二極化が見られることを記載しましたが、図表2と図表3のデータから、日頃運動をしている子どもとしていない子どもでは、体力面においても二極化している現状が明らかになっています。それは小学生でも見られますが、特に中学生になると顕著になります。
一方で、体育の授業で「動きのコツがわかった」「運動やスポーツがうまくできるようになった」「体育の授業は楽しい」と思うかどうかという質問を児童生徒にして、体力合計点との関係を分析したところ、相関関係があることも明らかになりました。
運動に限らないと思いますが、一般的に、辛い、苦しいという思いばかりでは、なかなか続けることは困難で、上達は望めません。どんなに辛くても苦しくてもやり遂げる、というのは余程強い意志と目標を持った一部の子どもです。
子どもは年齢が低いほど、楽しいという気持ちや上手にできたという達成感を感じて伸びていくものです。そのため、保護者はもちろんですが、子どもに関わる保育者、教員、指導者などすべての人々には、そうした成功体験を少しずつでも与えられるような働きかけが求められます。
運動のやりすぎは身長の伸びに影響する
運動がどの程度発育に影響するか、というのは個人差もあり、かなり難しい問題です。
しかし、やりすぎれば必ず発育発達にダメージを与えます。子どもの運動やスポーツの状況が適度であるかどうかを知るには、どうすればよいと思いますか?
その答えは、まずお子さんの様子をよく見ることです。疲れすぎていないか、食欲はあるか、運動やスポーツを楽しんでいるか、悩んでいる様子はないか、などです。
そして、そうした主観的な観察に加えて、客観的に運動やスポーツが心身を損なっていないか、適度であるか、ということを知る方法があります。そう、それこそが「成長曲線」です。成長曲線を描いていれば、子どもの発育状態ばかりでなく、精神状態さえ把握することができるのです。
例えば成長曲線を描いてみて、もし身長がどんどん低い方の基準線の方に落ちていっているようであれば、練習時間やその内容、総合的な運動量が多すぎるなど、からだに負担が大きいことを表しています。精神面の問題もあるかもしれません。