夏に増えた分は蓄積されてしまう

私達の調査によると、夏休み中に太った子は、起きる時間と寝る時間に、授業期間の通常のリズムから2~3時間のずれがありました。3時間ずれている子は、9月に体重が大幅に増加していたのです。朝寝坊して、エアコンのきいた涼しい部屋で、アイスクリームなど甘いものを好きなだけ食べて、夜更かしすれば当然太ります。夏はあまり運動もせず筋肉がつかないので、増えた分はすべて脂肪です。それが秋に蓄積されてしまうということを毎年繰り返すうちに必ず肥満になっていきます。

私は1970年代から調査をしていますが、小学校入学時から夏に太るリズムを持っている子は、たとえ小学1~2年生のときは肥満でなくても、3年生あたりから肥満度が上がり始め、6年生では明らかな肥満になって卒業していきます。最初から肥満でなくても夏休みを重ねるうちに肥満になるということです。これは今の時代でも変わりません。

さらに、コロナ禍の期間は、子どもの肥満が明らかに増えました。これも生活が不規則になったということでしょう。わが子の肥満が気になっている保護者の方も多いと思いますから、次のような取り組みを参考にしてください。

「起きる時間」「寝る時間」「食事の時間」を決める

子どもの肥満改善は、家庭の生活習慣を見直すことがスタートです。正しい生活習慣は「朝起きる時間」「夜寝る時間」「食事の時間」といった定点を決めると、自然に身に付きます。ぜひ3歳までに身に付けてほしいものです。

小林正子『子どもの異変は「成長曲線」でわかる』(小学館新書)
小林正子『子どもの異変は「成長曲線」でわかる』(小学館新書)

具体的に実践してほしいのは、早寝、早起き、朝ごはんです。昔からよく聞かれる標語ですが、理にかなっているのでぜひ心がけてほしいですね。

まず早寝です。早く寝れば、自然に早く起きることができて、朝ごはんも食べられます。朝ごはんを食べれば、頭が活性化されて、元気に動けて、すべてがよい循環に入っていくでしょう。

それが乱れるのは、たいていは寝る時間が原因です。遅寝になると、早く起きられず、早く起きられなければ、朝ごはんもゆっくり食べられない。食べられないと一日ボーッとした活力のない生活になってしまう。頭に栄養がいかないから、学習能力が落ちてしまい勉強する意欲も湧かないなど、すべてが悪循環になってしまいます。まずは早寝することから始めて、早起き、朝ごはんの習慣を心がけてみましょう。

食事は色々な栄養素をバランスよく、あまり食べすぎないように。さらに適度な運動をすること。縄跳びでもジョギングでも何でもよいので体を動そうという心がけが大事です。運動が好きな子なら、自分からどんどんやるでしょうが、嫌いな子には親が誘って一緒に歩いたり、一日5分だけでもよいので外に出てエネルギーを発散させることが大切です。続けることで気分も変わります。

ここでのポイントは、夏休みに不規則な生活を送ると太りますが、反対に規則的な生活にすれば、むしろやせるチャンスであるということ。元来、夏は体重が増えにくい季節なのです。肥満が気になる子は、ぜひ夏休みに生活習慣を整えることを意識しましょう。