成長に良い環境をどうつくるか

思春期の身長スパートは早熟と晩熟があり、晩熟の方が身長の伸びる期間が長くなるため、できることなら身長スパートは遅らせた方がよいと考える方もいらっしゃると思います。

そんなことができるのか? と思われるかもしれませんが、家庭でできる取り組みとしては、まず子どもを早く寝かせること。これが大切です。夜、テレビやスマートフォン、ゲーム機の光を長時間浴び続けていると、その刺激で第二次性徴がどんどん進んでしまうという報告もあります。

そうした意味でも身長が伸びるうちは夜更かしせず、夜は部屋を暗くして休む。身長は遺伝の影響を避けられないと諦めずに、家庭ではなるべくよい環境をつくってあげてほしいものですね。ご自身の身長が低いと思われている保護者の方でも、もしかすると環境の影響で伸びが抑えられてしまったのかもしれません。

私は決して身長は高い方がよいと言っているわけではありません。ご存じのように、スポーツの世界でも、種目によって、高い方が有利であったり、逆に低い方が有利であったりします。また小さくなりたいと思っている大柄な人もいます。

要は、その子どもの持って生まれた資質を十分に発揮できるようにすることが大事であると考えています。そのためには、育つ環境をできるだけよいものにしてあげることが、保護者としてできることではないかと思うのです。

身長をしっかり伸ばすには、よい睡眠のほかにも、適度な運動やバランスのとれた食事が必要です。運動については、バランス感覚や持久力、筋力をつける最適な時期があります。そして、やりすぎは注意。骨に負担がかかり、伸びる身長も伸びなくなってしまいます。

夏休みの肥満は要注意

小学生で高度肥満の子は、すでに乳幼児期から肥満です。子どもが肥満の場合、親も肥満のことが多く、これは家庭の生活習慣が「太る生活習慣」になっている可能性があるかもしれません。

太っている子は、とにかく食事の回数が多いものです。学校から帰ってきて、おやつを食べて、夕食を食べて、夜食を食べる。家にはスナック菓子やカップ麺、ジュースなどの買いおきがある。子どもがいつでも何でも好きなものを食べていいという生活習慣が身に付いてしまうと、直すのは相当困難になりますし、高い確率で肥満になります。

子どもには発育の季節変動があります。体重は秋冬に増加するのが正常なリズムです。

夏に増加するのは異常なリズムであり、肥満の引き金になるので要注意です。子どもが夏休み中に太り、それが毎年繰り返されるようであれば、そのまま肥満になりかねません。夏休みは学校のある期間と違って、どうしても生活リズムが崩れてしまいがちです。しかし、大幅に崩れるのは避けなければなりません。