※本稿は、小林正子『子どもの異変は「成長曲線」でわかる』(小学館新書)の一部を再編集したものです。
日本人の身長が伸びなくなった理由
そもそも子どもの体格は遺伝的な影響も大きいですが、大柄な子でも小柄な子でも、からだのバランス(プロポーション)は、育つ環境に左右されて形成されます。つまり生活環境で大きく変わるのです。
歴史を振り返ってみてもわかりますが、第二次世界大戦までの日本人の畳に座る生活様式は、足の発育にはマイナスでした。戦後、テーブルと椅子の生活になり、栄養事情もよくなったことから、日本の子どもの身長は目覚ましい伸びを示し、その大部分は足の伸びが寄与していました。そのためプロポーションも足長に変化しました。
ところが、平均身長は1998年〜2000年を境にだんだんと低下しています。身長は、身長スパートが始まると、まず足がぐんと伸びて、座高が伸び、さらにもう一度足が伸びる、という順序が一般的ですが、身長が伸びなくなった時期から下肢長(足の長さ)も低下しています。これは発育段階で最後に伸びるはずの足が十分に伸び切らず、身長スパートが終了してしまったためと考えられます。
なぜ1998年頃から身長が伸びなくなってしまったのか。何か健康問題が発生して伸びなくなってしまったのではないか――。
これについては拙著(『子どもの足はもっと伸びる! 健康でスタイルのよい子が育つ「成長曲線」による新・子育てメソッド』女子栄養大学出版部、2021)に記載しましたが、その原因の一つとして考えられるのが、インターネットの普及によるパソコンや携帯電話やスマートフォン、ゲーム機といった電子機器の登場です。ちょうどその頃から、それらの電子機器が家庭に入り込み、大人だけでなく子どもも夜遅くまで使っていた可能性があります。