リアルで人と人をつなげられるのがPTAのメリットか

【遠藤】私自身、副会長や会長になって感じたのは、活動にかけた時間と「やってよかった」という実感を比べてみると、収支はトントンかなと(笑)。時間はかかりましたが、こうして協力してくれる人たちとのつながりが結べた喜びもある。今、ネットで質問や相談をすると、AIが高いクオリティーで答えてくれる時代になりましたけれど、それを実装していくのは結局、人間でありチームじゃないですか。PTAにはベルマーク収集など従来の活動が好きな人もいるし、今回、本部役員になった人も「直接、人と出会えたりつながり合えたりするきっかけが欲しかった」と動機について話してくれたので、そういう場を提供していることは、ひとつの存在意義だと思いますね。

【安東】PTAにしかできない活動というのは改めて考えてみるべきだと思いますが、人と人のつながりが疎かになっている状況は、私もかねて懸念していること。だからこそ、PTAを入り口にするなら、例えばゴミ拾いなど地域の活動につながっていってほしいし、さらにそれが社会を変えるきっかけになるのが理想。そういう思いで無償の活動のためのアプリを無償で公開しているわけです。営利会社も利益を追っているばかりではなく、利益を社会に還元するんだと……。それがこれからの社会では当たり前になってほしいですね。

【遠藤】そうですね。安東さんはPTA活動にとどまらず、コミュニティー全体、さらにその先を見ているので、現場にいる私たちはそういう精神性を感じ取って動いていくことが大事だと思っています。

取材・構成=小田慶子

遠藤 晃弘(えんどう・あきひろ)
調布市立神代中学校PTA会長

調布市生まれ調布育ち。仕事と家庭の両立に悩む中、思いがけずPTA役員に。空洞化する共同体を危惧し、社会貢献としてコミット。調布市立上ノ原小学校PTA(副会長2期:2021~2022)、調布市立神代中学校PTA(会長2期:2022~2023)。

安東 裕二(あんどう・ゆうじ)
OpenDNA代表

ソフトウェア開発会社、コンサルティング会社を経て、2007年に株式会社OpenDNAを創業。芸術・文化の興味・関わりを深める「OpenDNA」などのスマートフォン向けアプリケーションを開発・運営。ボランティア運営アプリ「Hi!」(無料)