PTAはスリム化かそれとも解体するべきか

【安東】ただ、開発者として言わせてもらうと、「Hi!」はボランティアの運営に最適化したアプリで、これがあればPTAはなくても学校と保護者の連携は成立するはずなんです。本当に必要なのは教師のサポート。だから、学校の先生が「Hi!」を使って直接、保護者に呼びかければいい。現状、なぜPTAの保護者が間に入り先生から「運動会の準備に何人必要だ」などということをわざわざ聞いて募集をかけているのかがわからない。

【遠藤】ひとつはシステム導入のハードルがあります。公立小中学校だと、学校のパソコンにアプリひとつ入れるのにも手続きが必要になるので。

【安東】学校でも先生たちはインターネットをしているはずで、ウェブからアプリの管理画面に入ればいいのでは?

【遠藤】まだまだ公立はITネットワークが脆弱ぜいじゃくだということもあるし、先生方も働き方改革で業務を減らそうとしている中、新しい仕事が増えることに抵抗があるかもしれません。「保護者ができることはやろう」という感覚です。

上ノ原小学校のフェンスに貼られた交通安全のポスター
撮影=プレジデントオンライン編集部

PTAは保護者のためにあるわけではない

【安東】どうもPTA活動となると、本当に子どもたちのためになるかということより、保護者自身が楽しいからやっている場合が多い。そういう空気を感じ、「PTAはやりたくない」と敬遠する保護者もいますよね。そうなると、いっそPTAは解体してもいいし、それは可能なはず。他の地域ではPTAをやめた例も出てきているわけなので。

【遠藤】既に上ノ原小PTAは「できることを、できる時に、無理のない範囲で」という参加形式になっているけれど、PTA自体をなくせるかというと……。やはり、まだしばらくはPTAに参加する人の価値観が活動を支えていくのではないかと思います。その時その時で集まった保護者たちが意見交換しながら、すべての人が満足できる完璧な運営はできないけれど、「こうだろうか」と探りながらやっていくことが大事だと思います。