日本性教育協会が1974年から6年ごとに行っている「青少年の性行動全国調査」(速報)によると、高校生のキスや性交の経験率は下がっていることがわかった。コラムニストの河崎環さんは「日本での性行動に対する“免疫”の付け方は、『実践型』ではなく『予防接種型』だ。子どもたちは性教育で、ポジティブな性についてのメッセージよりも先に、ネガティブなメッセージを受け取っているのではないか」という――。
手をつないで歩いている高校生のカップル
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データに表れた高校生の“性離れ”

日本の高校生が、“性離れ”をしているという。日本性教育協会が2023年に行った調査(速報)によると、キスをしたことのある男子は22.8%、女子は27.5%。35年以上前、1987年の水準に戻ったそうだ。性交経験率は男子12.0%、女子14.8%で、20年近く減少傾向が続く。一方で自慰経験率は増加。これを報じる朝日新聞は「相手がある性行動は減少する一方、相手のいない性行動は増加していることになる」と、なかなか鋭い。

「性に関心が芽生える時期にコロナ禍で接触が制限されたことが影響した可能性もある」と研究者が指摘しているとのこと。1974年からほぼ6年ごとに行われてきたこの調査では、これまで日本の子どもたちには「早い人は早く、遅い人は遅く」という二極分化が共通傾向として見られていたというが、その定説が”コロナ時代”の出現で崩れ、一律の性離れを見せた格好だ。

10代という性的にアクティブになるのが当たり前の時期にリアルな体温のある性行動から離れてしまい、代わりにひとりでコンテンツを見るという引きこもり傾向を強めてしまったと読めるわけだが、いわばまさに“これからの人”である10代がこの様子では、将来の出生率低下が改善する兆しは微塵も見えない。

決して驚く話ではなく「さもありなん」と思ってしまうところが、イーロン・マスクに「いずれ消滅する」と予言された日本らしいところではある。

清潔な環境で育つ日本の「いい子」たち

高校生なんて、人生でいちばん好奇心旺盛でバカをやる季節、いやバカの季節だ。バカをやるなら今だ、というくらいバカに適した季節であるので、バカでいいのだ。

遠慮もなくバカバカ連呼しているが、バカをやるにも適齢期というのがある。人間の体とは知力も体力も18〜20歳くらいがピーク。しかしながら現代日本では成年年齢が18歳に引き下げられて選挙権も与えられ、一方で飲酒・喫煙・ギャンブルは20歳からにステイし、大人が耽溺してお金を溶かし人生を台無しにしている各種ワルイコトには「いけません。もうちょっと待ってね」とお許しが出ない。

つまり日本の若者は20歳までカラダとアタマに悪い影響を与えそうなことは取り上げられたまま、18から突然「本日より諸君を大人とみなす。自分に責任を持ちたまえ」と成熟を求められるわけだ。