親と子がお互いに弱音を吐き、助け合える関係に

「普通」なんてありもしない理想。いろんな人がいて、いろんな家族の在り方があって当然です。親は権威ある存在である必要はないし、子どもは立派でなくてもいい。

「親子って、血のつながりだけではない。人生のなかで繰り返し更新しながら、何度でも親子になれるんですね」
「親子って、血のつながりだけではない。人生のなかで繰り返し更新しながら、何度でも親子になれるんですね」(撮影=国府田利光)

親と子はお互い寄り添い合い、弱音を吐き出せる存在であるべきだと思います。苦しいことがあれば、お互いの傷を言葉にすればいい。それってとても大切なことじゃないですか。私は、「死ぬ」という感情を抱いた瞬間、いろんなものがそぎ落とされ、気づくことができたのですが――。

私自身、30歳をすぎて親と一緒に暮らしていると何か問題があるように言われますが、私を社会の物差しで測らないでほしい。私は自分の考えで、自分の人生を生きています。それが母・フローラから学び、私が実践している生き方なのです。

構成=江藤誌惠 撮影=国府田利光

サヘル・ローズ
俳優・リポーター

イラン出身。8歳のときに養母と日本へ移住。通っていた小学校の校長先生から日本語を学ぶ。高校在学中に「J-WAVE」でラジオDJとしてデビュー。現在、リポーターや俳優として多方面で活躍中。慈善活動にも注力しており、過去、そうそうたる面々が受賞している、米国の「人権活動家賞」を2020年に受賞。近著に『言葉の花束 困難を乗り切るための“自分育て”』(講談社)。