N分N乗方式で年額30万円以上の減税も
子育て世帯にとって、実際どのくらいの影響があるのかシミュレーションしてみましょう。
例1)夫婦、子ども(中学生)1人、年収夫500万円、妻500万円
※所得控除は基礎控除、社会保険料控除
N分N乗方式にすると……所得税が約31万円減る!
1人あたりの課税所得:464万円÷2.5=186万円
1人あたりの所得税:9万3000円
世帯が収める所得税:9万3000円×2.5=23万2500円
例2)夫婦、子ども(高校生と中学生)2人、年収夫700万円、妻800万円
※所得控除は基礎控除、社会保険料控除、扶養控除
N分N乗方式にすると……所得税が約27万2000円減る!
1人あたりの課税所得:755万円÷3=252万円
1人あたりの所得税:12万6000円
世帯が収める所得税:12万6000円×3=37万8000円
いずれも現状との比較で年額30万円の差が出ました。
子育て世帯の税負担を減らす仕組みを導入すべき
年収を上げれば負担が増えて苦しむという世帯に対しての少子化対策として、この数字は大きいのではないでしょうか。日本で本制度を導入するのが難しくても、税負担を軽くする仕組みとしては一考の余地があるのではないかと考えます。
日本では子育て支援の給付(ばらまく)ばかりが政策に上がりやすいですが、子育て世帯の税負担を減らす仕組みを導入することをぜひ検討してほしいと思います。お金をバラまいた方が、選挙に有利なのかもしれませんが、政治家自身の次の選挙のためではなく、日本の将来のために、真に国を支える制度を真剣に議論し、導入していただきたいと思います。
とはいえ、悠長に構える時間はありません。“検討”ではなく、実行しながら改善していくというスタンスで取り組むのはいかがでしょうか。
Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用 新NISA対応改訂版』(宝島社)など書籍100冊、著書累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(@yorifujitaiki)