「子育て罰」と揶揄された児童手当の“所得制限”。政府はその撤廃を検討している。経済ジャーナリストの頼藤太希さんは「高所得者はすでに多額の税負担をしているわけなので、子育て支援を止めるのは全くもっておかしい」という――。
赤ちゃんを抱きながら、こめかみと額を押さえて困った表情を浮かべる母親
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税負担が大きいのに「子育て罰」があるのはおかしい

東京都は1月12日少子化対策の一環で、18歳以下に月5000円、所得制限を設けずに給付すると発表しました。来年1月ごろにも1人当たり年額6万円を一括で各世帯に給付するとのことです。小池百合子東京都知事は会見で、所得制限について「子育てに対する罰ゲーム」と言及したことがSNS上で賛同の嵐を生み話題になりました。

子育てに関する給付に所得制限が設けられていることを指す言葉「子育て罰」は国会でも取り上げられています。具体的には「児童手当」「高校無償化」などには所得制限があり、高年収になれば受けられなくなる仕組みです。

「収入が高いのだから、給付金や支援はなくて良いだろう」という観点で設けられているものでしょうが、年収が上がれば、所得税・住民税・社会保険料が重くのしかかります。特に所得税が厄介で、5%〜45%の累進課税制度を取っています。年収が上がれば税率も上がりますので、手取り収入は思ったほど増えません。

この累進課税制度はそもそも、税負担の公平性として設けられているとしても、すでに多額の税金を負担しているわけなので、子育て支援を止めるのは全くもっておかしい仕組みです。

児童手当と高校無償化については、以下簡単にまとめました。

●児童手当

対象者:中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の子を養育している人

支給額:3歳未満 1万5000円、3歳以上小学校修了1万円(第3子以降は1万5000円)、
中学生1万円

子を養育している人の所得が所得制限限度額以上、所得上限限度額未満の場合は、特例給付として月額一律5000円が支給されます(2022年10月から、所得上限限度額を超えた場合、不支給となる改正が行われています)。

●高校無償化

「高等学校等就学支援金制度」により、所得制限はありますが、国公私立問わず高校の授業料が実質無償化になりました。国公立の場合、年間11万8800円を上限に支給されます。私立の場合、年間39万6000円を上限に支給されます。