たとえ無視されても「和顔施」であいさつ

そしてCさんには、「とにかく気持ちのいいあいさつをしてください」とお伝えしました。ほかにも、新しい職場に移られたばかりの方で、「あまり歓迎されていないようなんです」と悩みを打ち明ける方もいます。そんな時こそあいさつです。

ただその時、相手からもあいさつが返ってくるとは思わないこと。期待しないことです。お金や物がなくてもできる、周りの人たちに喜びを与えて自分を高める方法として、仏教では「無財むざい七施しちせ」という七つの方法を挙げています。その一つに「和顔施(わがんせ/わげんせ)」があります。これは、人ににこやかな顔で接することを指します。こちらからあいさつをしているのに無視されるのはつらいですが、自分だけでも和顔施を実践していれば、いつかそれが相手にも通じてあいさつが返ってくるようになります。

身支度を整えることで気持ちに余裕を

身支度をきちんと整えることも大事です。きらびやかにする必要はありません。事前に会社のことを下調べして職場の雰囲気を知り、その会社にあった清潔感のある服装にすればよいと思います。気持ちも外側も整えれば、気持ちに余裕が生まれます。

余裕がない状態というのは怖いものです。ご縁があって入った場所だと思えば最初から敵対することはありませんが、自分に余裕がないと、相手のちょっとした言動でさえマイナスに捉えて「歓迎されていないのでは」と疑心暗鬼になってしまいます。明るい言葉は明るい気を呼び込みますが、ネガティブな言葉はネガティブなものを呼び込んでしまいます。言霊って本当に怖いんです。

そもそも、その会社に必要とされていないのであれば、採用されたり、迎え入れられたりはしないわけです。多少の緊張はよいのですが、過剰な不安を抱かないようにしてください。新しい職場に出向く際は足元を見ずに上を向いて、「よし頑張ろう」という気持ちで挑んでください。