気持ちを切り替え未来のことを考える
落ち込む自分に対し「それでいいんだ」と認めることで、起こってしまったことについてあれこれ反省しそうになる気持ちを切り替えるのです。ネガティブな気持ちに引っ張られず、「これからはこうしよう」と未来のことを考えられるようになってきます。
落ち込む自分について「なぜ私はこんなことでずっと落ち込んでしまうんだろう」と、自己承認をできないままでいると、なかなか負のスパイラルから抜け出せず、気持ちを切り替えることができません。
例えば、「会議で、言うべきではないことを言って上司に叱られた」と落ち込んでいるなら、「ミスをして叱られたんだから落ち込んでしまうのは仕方がないことだ」と、いったん落ち込む自分を認めます。それから、「次は事前に上司に相談しておこう」「会議に出る前にはアジェンダを確認しておこう」など、今後どうすればよいのかを考えるようにしましょう。
「まあ、いいか」を口癖にする
「どうも自分は落ち込みやすいな」「自己肯定感が低いな」という人は「まあ、いいか」という言葉を口癖にしてみてください。ポイントは、頭の中で言うだけでなく、声に出して言うことです。自分が発した言葉であっても、音声になって耳から聞こえて脳に届くことで、受け取り方が大きく変わります。誰かにそう言われているのと似たような効果が出てきます。ちょっと失敗しても「まあ、いいか」と言うことで、ネガティブな気持ちを受け流し、切り替えることができるようになります。
反対に、NGなのは「~じゃないといけない」「~しなきゃいけない」と決めつける言い方です。こういう口癖の人は「社会人なんだから、こうじゃないといけない」「部下がいるから、こうしなきゃいけない」と、自分自身を縛ってしまい、失敗してそこから少しでも外れた行動をとってしまうと、自分を許すことができずに落ち込んでしまいます。
こういう口癖は、筋トレと同じで、何度も繰り返し口にしているうちに、自分の思考回路が変わり、習慣も変わっていきます。「落ち込みやすい」「自己肯定感が低い」というのは、ちょっとした思考の癖によるものです。「まあ、いいか」を繰り返し口にすることで、思考の癖は変わっていきます。
「私ってダメな人間だ……」と思ったら、とりあえず「まあ、いいか」と、つぶやいてみてください。
構成=池田純子
産業医・精神科医・健診医として活動中。産業医としては毎月30社以上を訪問し、精神科医としては外来でうつ病をはじめとする精神疾患の治療にあたっている。ブログやTwitterでも積極的に情報発信している。「プレジデントオンライン」で連載中。