片付けや断捨離で心もスッキリ

二つ目は「部屋を片付ける」です。気分が落ち込み、不安になっているときや、心に余裕がないときは、部屋も散らかりがちです。ですから、部屋を片付けたり断捨離したりするのは、心を落ち着けるのにもってこいです。

そもそも、物がたくさんある状態は心に負担がかかります。物がたくさんあると、それだけ選択肢が多くなります。「選ばなくてはいけない」というのは精神的にも負担になります。また、物を所有するのは責任をともなうので、それも大きな負担です。物を手放せば選択肢が減るし、その責任も減って、スッキリできるはずです。

しかしながら、患者さんを見ていても、片付けや断捨離が苦手な人は多いです。「全部要るものだから」と、なかなか捨てられないようです。「要るか、要らないか」の二択で考えると、なかなか答えが出ず、判断することそのものが負担になってしまいます。ですから私は、「『使っているか・使っていないか』で判断してはどうですか」とアドバイスしています。例えば洋服なら「この1年、1度も着なかったものは処分する」などです。

一気にやろうとしないこともポイントです。「今日はこのクローゼットだけ」「この引き出しだけ」など1カ所を決めて、そこだけ取り組みます。片付けが終わり、クローゼット1カ所、引き出し一つがすっきりすると、達成感も得られます。

なかなか片付けのモチベーションが湧かないという人は、部屋を片付けるきっかけを自分以外に求めるのも手です。例えば、以前患者さんの中に、ペットを片付けのモチベーションにしていた人もいました。ペットがいることで、「物を散らかしていると、ペットが口に入れてしまうから」と、片付けるようになったそうです。「植物を置くために片付ける」ということでもいいでしょう。植物を育てること自体に癒やしの効果がありますが、そのために片付けたり空気を入れ替えたりしようと思えるきっかけにもなります。

落ち込む自分を「自己承認」する癖を

三つ目が、「寝る前に1日を振り返る」です。これは、ぜひやってほしいと思います。

今日は、落ち込んだりへこんだりしていたわけですから、あまりいい1日ではなかったかもしれません。それでも、1日の終わりに自分を振り返り、「嫌なことがあったんだから、へこんで当たり前だよね」と自分を認めましょう。落ち込んでいる自分に対して「私はダメなんだ」と思うのではなく、「大丈夫。これで普通なんだ。それでいいんだ」と自己承認する癖をつけてほしいのです。

なるべく反省をしないようにします。「なぜこうなってしまったんだろう」と振り返って反省し始めると、どんどん落ち込んでしまい寝られなくなります。それよりも、失敗した自分を受け入れたうえで、「これからどうすればいいか。どうしたいか」という先のことを考えましょう。

ベッドに腰かけ、窓からのぞく外の光を見つめる女性
写真=iStock.com/recep-bg
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