1日1時間は日の光を浴びる

冬季うつの治療は、抗うつ薬を使うこともありますが、それはまれで、まず生活習慣を改善するアドバイスをします。注意事項は大きく3つあり、これはそのまま冬季うつの予防にもつながります。

1点目は「日光を浴びる」です。先程もお伝えした通り、冬は日照時間が短く、セロトニンが作られにくくなります。ですから、特に朝、起きたときに10分間、顔いっぱいに日光を浴びるようにします。

ただし、冬は日の出の時刻が遅くなるため、朝日を浴びることが難しいこともあります。その場合は、1日に合計1時間は太陽の光を浴びるようにします。終日オフィスで過ごす人は、少し工夫が必要です。例えば通勤のときに、普段使う最寄りの駅でなく、1駅遠くの駅まで歩く。雨が降っていない日は昼休みに外に出て、公園でお弁当を食べる。細切れでもよいので、足し算をして1日1時間は日光を浴びましょう。

窓辺で冬の朝日を浴びる女性
写真=iStock.com/indigo making studio
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セロトニンのもとになるトリプトファンを取る

2点目は「タンパク質をとる」です。寒くなるとつい、ご飯やパン、麺類などの炭水化物を取りがちですが、炭水化物よりもタンパク質を取ることを心がけます。特に、セロトニンを作るための食事を意識しましょう。

タンパク質の中でも特に、セロトニンを作る過程で必要なトリプトファンという必須アミノ酸がたくさん含まれたものを取るようにします。トリプトファンが多く含まれるのは、豆腐や納豆、味噌といった大豆製品、そしてチーズや牛乳、ヨーグルトなどの乳製品など。

さらに、同時にビタミンB6を摂るとセロトニンが作られるスピードが速くなります。ビタミンB6は、マグロやブロッコリー、バナナなどに含まれています。特にバナナには豊富に含まれるので、朝食はバナナヨーグルトをおすすめしています。朝食を作るのが面倒という人も、バナナヨーグルトなら、バナナの皮をむいてヨーグルトを入れるだけなので簡単です。