抱え込んで孤立しないで
3点目は、周りに理解者をつくることです。くれぐれも、自分1人だけで寄り添いすぎたり、つらさを1人で抱え込んで孤立したりしないようにしてください。
時にはパートナーから離れて、ストレスを解消し、心穏やかになれる場所や時間を持つことも大切です。特に、自分が疲れていたり、体調がすぐれない時などは、パートナーの行動が余計に腹立たしく思えたりするものです。イライラが爆発してケンカをしても、なかなか解決の糸口は見つかりません。病院やカウンセリング、NPOや、同じ境遇にある人たちの団体などをどんどん活用してほしいと思います。
一緒に住んでみないとわからない
最初に説明した通り、発達障害の特性の表れ方は非常に個人差がありますし、それが発達障害によるものかどうかは、一緒に生活してみないとわからないところがあります。例えばADHDの「関心があるものに対して没頭してしまう」「衝動性が強い」といった特性は、恋愛で発揮されると、相手への猛アタックになることもあるので、アタックされる側は「相手は情熱的で魅力的な人だな」と受け取ったりします。それが、「恋愛中は良かったけれど、結婚して一緒に生活するのは大変」に変わる可能性もあるわけです。
まずは、発達障害の特性を知り、本人に悪気があるわけではないことを理解してほしいと思います。そして、そうした特性に合わせて、本人も自分もできるだけ困らないよう、嫌な思いをしないよう、工夫することだと思います。お互い歩み寄ることが理想ですが、どうしてもこちら側の歩み寄りが多くなってしまうかもしれません。頑張りすぎないよう、逃げ場も持っておいてください。
構成=池田純子
産業医・精神科医・健診医として活動中。産業医としては毎月30社以上を訪問し、精神科医としては外来でうつ病をはじめとする精神疾患の治療にあたっている。ブログやTwitterでも積極的に情報発信している。「プレジデントオンライン」で連載中。