2段階のステップで働きかける
存在を認めるために、まずは「○○さん、おはよう」と名前を入れて挨拶をするところから始めましょう。挨拶以外にも、「○○さん、新しい引っ越し先はどう?」「○○さん、お昼ご飯は何を食べたの?」など、仕事には関係ない話題も含めてこまめに声をかけるようにします。一回の対話をじっくり深めるよりも、ちょっとしたコミュニケーションをとる回数や機会を増やし、自分という存在が承認されている、ここにいてもいいんだという安心感をもってもらうようにすることが大切です。
それから、仕事の進め方について働きかけをするステップに進みます。1、2週間おきなど、定期的にポジティブなフィードバックをする時間を作るのです。とはいえ、いつもポジティブな成果を出せているわけではないでしょう。その場合は、結果はうまくいかなかったとしても、努力したプロセスや頑張っていたところにスポットを当てて褒めましょう。失敗して涙を流したとしても、泣くことはかまわないし、それで仕事に慣れて成長できればいいのだということを教えていきます。
調子が悪いときは距離をとって自衛を
上司からすると、こうしためんどくさい部下は、子どもっぽく見えてしまいますし、対応するのは本当に大変です。しかし、めんどうでも丁寧に付き合っていかないと、仕事がまったく回らなくなってしまいます。
ただ、相当なストレスが溜まってくると思います。だからといって、こちらがキレてしまっては絶対にいけません。ですから、ストレスが溜まっている時、体調が悪い時など、こちらのコンディションが悪いときは、あえて近付き過ぎないようにして、距離を取るようにした方がいいでしょう。注意するときも、自分のコンディションが悪いときに言うと、ついトゲのある言い方になってしまいます。自分を守るためにも、めんどうな部下とは、うまく距離をとりながら対応してほしいと思います。
構成=池田純子
産業医・精神科医・健診医として活動中。産業医としては毎月30社以上を訪問し、精神科医としては外来でうつ病をはじめとする精神疾患の治療にあたっている。ブログやTwitterでも積極的に情報発信している。「プレジデントオンライン」で連載中。