毎朝の洋服選びに迷いがなくなるいい方法はないか。人気スタイリストのあきやあさみさんは「私は少ない服を制服のように着回すことをお勧めしています。一年3セットあれば、不便なく心が満たされた生活ができる」という――。

※本稿は、あきやあさみ『一年3セットの服で生きる 「制服化」という最高の方法』(幻冬舎)の一部を再編集したものです

洋服屋で服を選んでいる女性
写真=iStock.com/Antonio_Diaz
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人気スタイリストが提案する「制服化」とは

制服化とは、ファッションをパターン化して「少ない服」で制服のように着回していくことです。制服化というと「必要最小限のものだけで暮らすミニマリスト」だと思われがちなのですが、私自身はどちらかというと「気に入った服しか着ない究極のエゴイスト」だと思っています。服を選ぶという過程を通して「私はこんな考えを持っていたんだ」「私らしさってこんな感じかな」と自分自身を深く知ることができます。

私が提唱する「制服化」は、ただ単に「ものを減らす」ことを主軸にしている訳ではありません(結果として、服がとても少なくなったということはありますが)。あくまでも「心地よく暮らすための服の選び方のひとつ」として捉えてほしいと思っています。

「価値観」が分かる一つの質問

ファッション講座に来てくださったお客さまに「もしも一年1セットの服だけで生きるとしたらどんな服を選びますか?」という質問をします。そうすると100人なら100通りの全く違った答えが返ってきます。「もしも」という仮定のお話なので実現は難しいかもしれませんが、その方ならではの価値観が一番分かりやすい質問なのです。

例えば「自分に似合っていて、大好きな色で、明るいイメージで……」と「見た目」のお話をする方もいれば、「動きやすくて、お手入れが楽で、体温調節が簡単にできて……」と「機能面」を重視される方もいます。答えそのものに、服に対する価値観というその人らしさ」が出ています。もちろん、「好き」や「機能」の条件も人それぞれです。例えば実際にいらしたお客さまの中には「絶対に毎日柄物の服を着たい!」という好きなものに強いこだわりを持った方もいれば、「肌が弱いので柔らかい綿素材の服しか着られない」という機能面での制限をお持ちの方もいらっしゃいました。

たくさんの服を所有できると思うと「あれもこれも」と欲張ってしまいますが、まずは「1セット」と絞り込んで考えると着たいものがより明確になるのです。答えを絞っていくと自分の好きな服、着たい服、必要な服が必ず見えてきます。