産出効果を引き出すうまいヒントの作り方

同じ学習時間で結果に15%の差がつくのは、かなり大きな差です。

この産出効果を活用するときにキーとなるのがヒントのつくりかたです。実際の学習で利用する場合は、どのようにヒントをつくったらよいのでしょうか。

英単語では、単語の最初の文字や文字数をヒントにできます。歴史上の人物を記憶するのも同じように、名前の文字数や漢字のイメージなどをヒントにします。漢字を覚える場合は、部首や書き始めの位置をヒントにするのがおすすめです。

ヒントの例
出典=『記憶はスキル

また、自分に関係する事柄だと記憶しやすいので、自分に関連する情報を思い出すためのヒントとして入れるのも効果があります。

なお、少ないヒントで答えを産出したほうが、効果は大きくなります。

余裕があれば2つぐらいヒントをつくっておき、まずは少ないヒントで、それでもわからなければヒントを追加するという方法がおすすめです。

ヒントは、個別に紙に書いておくほか、赤字で書き込み、赤いシートで見えなくしておいて、わからない場合にひとつずつヒントを見るやり方が考えられます。

注意すべきなのは、英単語のように一度に記憶したいものが多数ある場合、ヒント同士を共通のものや似たものにしないことです。

「apple」という単語と「action」という単語を覚えたいときに、ヒントが両方とも「aから始まる」だと混同してしまい、うまく覚えられないことがあります。

同時に記憶したいものは、それぞれちがったヒントを考えるようにしましょう。

先頭に出てくるものほど覚えやすい

次に紹介する「系列位置効果」は、記憶するべきものがいくつかリストとして与えられた場合、リストの最初と最後をよく記憶しているというものです。

【エビデンス】
15個の単語が読み上げられ、その後どんな単語があったかを答えるという実験では、1番目の単語は70%近くの人が答えることができましたが、3つ目以降になると40%程度にまで落ちます。単語リストの最後のほうも正答率が上がりますが、時間をあけるとほかの単語と変わらない正答率になります。

リストの最後のほうの単語は単純に短期記憶として残っているだけであり、時間が経つと、先頭付近の単語を記憶しやすい効果のみが残ります。

畔柳圭佑『記憶はスキル』(クロスメディア・パブリッシング)
畔柳圭佑『記憶はスキル』(クロスメディア・パブリッシング)

「単語帳のページの一番上の単語はなんだか覚えやすいな」と感じることがあれば、系列位置効果によるものかもしれません。

私も学生のころ、単語帳を買ってきた直後は新鮮な気持ちで取り組むのに、ページが進んで覚える単語数が増えてくると、だんだん印象が薄くなって覚えられなかったことを思い出します。覚えられないから、また最初から覚えるの繰り返し。結局、最初のほうの単語しか覚えていないことがありました。

先頭に出てくるものは覚えやすいと知っていれば、英単語を覚えるときにも、毎日同じ順番で確認することを避けられます。逆にどうしても覚えられないものは、系列位置効果を逆手にとって、毎日はじめに確認すればよいのです。

聴覚を活用する

記憶の種類のところで感覚記憶を紹介しました。感覚記憶のなかでも、視覚の記憶はほんの一瞬、1秒以下で消失してしまいます。一方、聴覚の記憶は意識しなくても2〜5秒程度は維持できることがわかっています。

目で追って読んでも覚えられない場合は、声に出して読み上げたり録音したものを聴いたりと、聴覚を使って別の刺激を与える。これも記憶を促すうえで有効です。

【エビデンス】

実験ではまず、単語のリストを「大声で読み上げる」「読み上げる」「黙読する」の3つの条件で記憶しました。その後、単語が提示され、記憶したリストにその単語があったか判断する再認課題をおこないました。

大声での読み上げを指示された単語は78%が記憶されていました。単なる読み上げは66%、黙読は51%という結果でした。

大声で読み上げるだけで、黙読と比較して26%もよい結果となりました。

ただ、ここで気をつけないといけないのは、音のみでインプットしたものはすぐに忘れてしまうという実験結果も多くあるということです。

自分で読み上げるケースでは問題ありませんが、音を聴くだけで記憶しようとするのは非効率なのです。必ず視覚情報との組み合わせで活用するようにしてください。

畔柳 圭佑(くろやなぎ・けいすけ)
モノグサ代表取締役CTO

東京大学理学部情報科学科卒業後、同大大学院情報理工学系研究科にてコンピュータ科学を専攻。修了後はグーグルに入社し、Android、Chrome OSチームに所属。その後、2016年に竹内孝太朗氏(CEO)とモノグサを共同創業。CTOとして記憶のプラットフォーム「Monoxer」の研究開発に従事。