政治では「87点のアイスランド、6点の日本」
政治はどうだろうか。政治分野のジェンダーギャップ指数として使われるのは、下院(衆議院)議員の男女比、閣僚の男女比、そして過去50年間の国のトップリーダーを務めた者の男女別の合計年数である。
今年の日本の順位は139位(2021年は147位)に上がったものの、日本の下には7カ国しかない。政治分野のスコアは0.061で、世界の平均スコア0.22の4分の1弱程度だ。
政治は諸外国でもいまだに男女差がもっとも大きい分野であるが、逆に最も大きな改善が見られる分野でもある。例えば、アイスランドは政治分野のスコアが0.874と、経済分野より男女差が少ない。100点満点で考えると、日本が6点であるのに対して、アイスランドは87点のような大差である。
そのアイスランドでも、2006年には総合順位が4位(0.7813)で、政治分野のジェンダーギャップ指数も0.4560と、今よりはるかに悪かった。それがこの15年間でジェンダーギャップを劇的に縮小させ、世界でもっともジェンダー平等に近い国となったのである。国会議員や閣僚の女性比率は4割以上、女性が国のトップリーダーを務めた期間も、男性とほぼ同じ年数である。アイスランドが過去13年間、総合スコア1位であり続けたのは、政治分野での進展がその背景にあると言えよう。
政治で挽回した韓国
日本と近い国としては、韓国もジェンダーギャップを改善させてきた国の一つである。2006年には総合点が日本より低く、政治分野のスコアは0.067と日本と同じだったが、各分野のスコアを少しずつ上げて、今年は総合スコアが0.689で99位に上がった。とりわけ、政治分野が0.212(72位)と大幅に改善されたことが日本を抜いた主要因である。
これらの国では、経済危機に陥ったり、政権の支持率が下がったりした時に、政治のあり方が厳しい目で議論され、その対策がとられた共通点がある。意思決定の場が閉鎖的で多様性に欠けていると、民意が正しく反映されず、しばしば社会経済的危機を招きかねないし、政策の失敗にも気付きにくい。そのような反省から政治のあり方を変えてきたのが、ジェンダーギャップの改善につながった。