116位、先進国で最下位
世界経済フォーラム(World Economic Forum)は7月13日に2022年版「ジェンダーギャップ報告書」を公表した。報告書は、各国の経済、教育、健康、政治の4分野における男女格差を、複数の指数で表し、各分野別、および4分野の総合点で国別順位を出している。
今年も1位はアイスランドだったが、日本は分析対象国146カ国中116位だった。G7で最下位にあるのは変わりなく、OECD(経済協力開発機構)加盟38カ国の中でも、124位のトルコを除くともっとも低い。さらに今年は、去年まで日本より順位が低かったバヌアツ共和国が日本より順位を上げたため、東アジア・太平洋地域でも最下位の19位となった(去年日本より下位にあったパプアニューギニアは、今回の評価に参加しなかった)。アジア・太平洋地域で政治・経済的リーダーの役割が期待される日本にとって、とても残念な結果である。
対象国数が近い2015年より大幅にダウン
「ジェンダーギャップ報告書」は2006年から毎年発表されているため、毎年の変化のみならず、この15年の変化も考察することができる。ただし、毎年分析対象国の数が少し変動するので、順位だけでなく、指数のスコアの変化から男女格差が改善されているかを評価した方がよい。
例えば、日本の順位は昨年156カ国中120位だったため、一見今年は順位(116位)が上がったかのように見えるが、今年は対象国が10カ国も減ったので、相対的な順位が上がったとは言えない。
分析対象国数が145カ国で、今回と近かった2015年の日本の順位は101位と、今年よりはるかに高かった。
もちろん、ジェンダーギャップ指数だけで男女格差を十分に表すことはできない。女性の間の格差や性的マイノリティーの状況はこの指数だけでは分からないし、性別以外の属性もクロスして分析しなければ、社会のあらゆる格差を明らかにすることはできない。ジェンダーギャップ指数は、社会に存在する不平等のあり方を分かりやすく表す手法のうちの一つであることを留意したうえで、有効に活用することが大事だ。
それでは、15年間のジェンダーギャップ指数から何が見えてくるだろうか。世界と日本の15年間の変化を手がかりに日本の課題を考えてみたい。