「睡眠プロジェクト」に10人以上が集結

開発の契機となったのが、18年、小林製薬の社内に発足した「睡眠プロジェクト」。

「17年4月発売の『ナイトミン 鼻呼吸テープ(以下、鼻呼吸テープ)』の成功を受けて、ナイトミンブランドに関わるメンバーを中心に、10人以上が関わりました」と話すのは、同・日用品事業部の北口淳さん。

2017年に発売し、累計2億枚を出荷した鼻呼吸テープ
2017年に発売し、累計2億枚を出荷した、ナイトミン 鼻呼吸テープ(写真提供=小林製薬)

鼻呼吸テープは、当初「本当にこれ(テープ)が役に立つの?」と懐疑的に見る人々もいたそうです。しかし、発売直後から「使ってみると、口の中が乾燥しなくなった」や「いびきがうるさくなかった、と言われた」など喜びの声が次々と寄せられるように。

購入者は、男女約半々で「旦那さまのいびきに悩む奥さまが購入し、『これ貼って寝てね』と手渡すケースも少なくないようです」と北口さん。

気が付けば、発売から約5年で累計2億枚を出荷するほどのお化け商品へと変貌を遂げていました。

なぜ、耳に着目したのか

もっとも、その後の耳ほぐタイムの開発は、簡単ではなかったといいます。

そもそも“耳”に注目したのは、先の社内プロジェクトで、メンバーが赤ちゃんの耳に関する「ちょっとした気づき」を披露したから。

「『そういえば、知り合いの赤ちゃんは眠っているとき、耳が赤くて温かいんですよ』というのです。そこから『美容院で蒸しタオルを当ててもらうと、リラックスできるよね』といった意見も出て、耳を温める着想を得ました」(北口さん)

後押ししたのが、度重なる医師や有識者へのヒアリング。睡眠に副交感神経が深く関わっていること、そして人間の体、とくに“耳”には多くの副交感神経が存在しているとの情報も、大いに参考になったといいます。

その割に耳を温める商品は、市場にまだほとんど出回っていない。まさにブルーオーシャン、新市場としてトップリーダーなれる可能性を秘めていました。