女性管理職の的確な業務指示を「冷たい」と受け取る部下

「女性管理職は情緒的、評価的サポートが得意」というアンコンシャスバイアスが強い部下の場合、女性には情報的サポートを期待していないということもあります。それどころか、女性管理職が情報的サポートに重きを置いて適切な業務指示やアドバイスをしても、「実務的ではあるが冷たい」といった不満を持たれてしまうことも。

かといって、情緒的なサポートに偏りすぎれば、今度は「コミュニケーションはしやすいけれど、業務遂行能力が低い」とレッテルを貼られてしまうケースもあります。

「じゃあ、どうしたらいいの?」と頭を抱えてしまう女性も多いでしょう。また、こうした状況が薄々想像できるからこそ、管理職の打診があっても固辞している、という声も聞かれます。

女性管理職がチェックしたい2つのポイント

私は、これから管理職に昇進する女性、またマネジメント職になってから苦労している女性には、2つのことをお伝えしています。

1つは、「職場にはいろいろなアンコンシャスバイアスを持っている人がいる」ということ。なかでも、性別によるイメージ、バイアスには多くの人に共通するものがあって、女性は特に情緒的・評価的サポートを期待される傾向にある、ということは頭に入れておきたいポイントです。

2つめは、サポートが偏っていないかをチェックすること。情報的サポートばかりでも、情緒的サポート偏重でも、不満を持たれる可能性が高まります。情報的サポートが得意ならば、意識的に情緒的な働きかけも行う。その逆も然りで、要は「コンサルティング」と「カウンセリング」の二刀流を心がける、というのがポイントです。この2つをバランスよく取り入れることは、そのままよりよいマネジメントにつながります。さらには、アンコンシャスバイアスを持つ部下からも、「期待と違う」といった不満を持たれにくくなり、円滑なチーム運営ができるでしょう。

女性管理職に対して、男性以上に要求されることが多いのは理不尽と感じられるかもしれません。ただ、アンコンシャスバイアスを理解し、対策することは、女性が自分自身の心を守って職務を遂行するためにも大切。女性管理職が圧倒的に少ない現状を変えていくためにも、アンコンシャスバイアスに負けない賢い立ち回りで実績を積み上げていってほしいと願います。

構成=浦上藍子

見波 利幸(みなみ・としゆき)
日本メンタルヘルス講師認定協会 代表理事

1961年生まれ。大学卒業後、外資系コンピューターメーカーなどを経て、98年に野村総合研究所に入社。主席研究員としてメンタルヘルスの研究調査、研修開発に携わり、日本のメンタルヘルス研修の草分けとして活躍。2015年より日本メンタルヘルス講師認定協会の代表理事に就任。20年かけて開発した2日間の「ヒューマンスキルを強化するマネジメント研修」は大企業を中心に絶大な支持を得ている。著書に『心が折れる職場』『上司が壊す職場』(以上、日経プレミアシリーズ)など多数。