ねたましさを抱えながら、一挙手一投足をチェックする人
日本の企業においては女性管理職の比率はまだまだ低く、女性の昇進は社内的にも注目が集まりやすいという現状があります。そうした中で、管理職になったはいいものの、部下への対応に苦慮するなど、仕事がしづらくなったと感じる女性も少なくないようです。
「せっかく抜擢されたのだから」という気負いが空回りして、自分流の仕事術を強要したり、部下の特性を無視した一律のマネジメントをしてしまうと、部下からの反発を招きかねません。これは男女関係なく、管理職がやってはいけないNGマネジメントの典型ではありますが、特に女性の場合は「これだから女性は!」「女性管理職を増やすために下駄をはかされていた結果だ」などと心ない中傷にまで発展することもままあります。
残念ながら、管理職は男性のもの、という誤った認識を持っている人も一定数存在します。「女性にポストを奪われた」というねたましさを抱えながら、一挙手一投足をチェックしている人もいる、ということは心に留めておく必要があるでしょう。時代錯誤な思い込みとはいえ、そうした価値観を持つ彼らからも評価を受けるという事実は無視できません。
管理職に登用された女性は、特に部内のメンバーとの関係性が確かなものになるまでは、より丁寧で配慮のあるマネジメントを心がけるのが上策と言えるでしょう。
管理職に求められる4つのサポートとは
部下に対するサポートには、情報型サポート、情緒的サポート、道具的サポート、評価的サポートの4種があります。
情報型とは、仕事の進め方のアドバイスや問題解決のためのコンサルテーションなどのサポート。情緒型は、部下の気持ちに寄り添った精神的なサポート。道具的というのは、実際に手を動かして資料作成をフォローしたり、作業効率をよくするITツールを導入したりするようなサポート法。そして、評価的というのは、部下の仕事ぶりを認め、モチベーションを上げるような声かけなどを指します。
4つのサポートをバランスよく行うのが理想ですが、人によって得手不得手があるのも当然です。特に男性の場合は、「情報型」を得意とする人が多い傾向にあります。男性管理職が圧倒的に多い日本では、部下の側にも「優秀なマネジャーは情報型サポートに強い」という認識があるかもしれません。
一方で、女性管理職に対しては「女性ならでは」が求められる傾向があります。つまり、当人の特性とは関係なしに、情緒的サポート、評価的サポートを期待される、ということです。
「女性なら共感力に長けていて、話を聞くのがうまいはず」
「仕事以外のことについてもいろいろ相談に乗ってもらえそう」
「うまく行かないときにも温かく見守って、きめ細かいフォローをしてくれるはず」
こうしたイメージは性別によってステレオタイプに当てはめようとするもので、一種のアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)と言えるでしょう。