平均報酬は663万円、3割が1000万円超

ところで気になるのは社外取締役の報酬だ。朝日新聞と東京商工リサーチが2018年4月末時点で東証1部上場の約1980社の報酬調査によると、社外取締役の平均報酬は663万円。もちろん企業規模によっても違う。日経平均株価に採用されている上場企業225社のうち報酬が判明した218社の平均は1200万円だった。また、デロイトトーマツが発表した2021年度役員報酬サーベイの社外取締役の報酬の中央値は800万円となっている。

前出のSOICOの調査でも「現在採用を検討している女性社外取締役の報酬」についても聞いている。最も多かったのは「1000万円以上」の28.6%。700万円以上は計47.8%となっている。約半数の企業が700万円以上、3割が1000万円以上ということは、女性社外取締役の報酬相場が上昇傾向にあることがうかがえる。

仮に4社兼務すると4000万円超になる。前述したように日本では今後、女性社外取締役のニーズはますます高くなることが予想される。今の会社で1つの専門分野を極め、部長職などマネジメント経験のある女性にとっては、社外取締役というもう一つのキャリアステップの道も開けている。

溝上 憲文(みぞうえ・のりふみ)
人事ジャーナリスト

1958年、鹿児島県生まれ。明治大学卒。月刊誌、週刊誌記者などを経て、独立。経営、人事、雇用、賃金、年金問題を中心テーマとして活躍。著書に『人事部はここを見ている!』など。