2.誘いや依頼にすぐ飛びつかない
人が良すぎるせいか、人からの誘いや依頼にNoと言わない人がいます。なんでも見境無しに飛びついてしまうのです。「成功するにはとにかく行動だ」と言う人は少なくありません。間違ってはいませんが、私には少し注釈が必要な気がします。というのも、臆せずいろいろなことに挑戦するのと、見境なしに飛びつくことは似て非なるものだからです。
当然ながら後者はリスクが伴います。たたまた10回中9回うまくいっても、最後の1回ですべてを失うこともあります。特に出会いや新しい仕事の失敗は、時間を失うだけでなく、あなたの人生から信頼や希望など多くのものを奪います。
取り返しのつかない失敗を避けて、より大きな運を惹きつけるには“その時”を待つことも必要です。いったん待つことで冷静にもなれますし、その直後に入ってくる補足情報でさらに良い判断ができる場合もあります。実際、多くの場合は判断のタイミングをわずかにずらしても、結果にさほど大きな差を生みません。
かの有名なソフトバンク孫正義さんも、即断即決の豪胆なイメージがあるようですが、重要な案件については期限ギリギリまで考えに考え抜いた上で結論を出されるようです。決して思いつきではありません。
また交渉事においては、待つことで値段が下がることや、“おまけ”がつくこともあるでしょう。逆に自分が焦っていることや、何が何でも欲しいという気持ちが見破られてしまうと、交渉相手の術中にはまることになります。交渉事に限らず、誘いや依頼にすぐに飛びつかない自制心を持つことができれば、心や時間にも余裕が生まれ、あなたの状況を有利にしてくれるはずです。
3.むやみにつるまない、しがらみをもたない
年代や業界・業種にかかわらず、つるんだり、派閥に入るのを好む人がいます。確かに権威あるコミュニティーに入ることは、時に自分を守ってくれたり、自分を大きく見せられるなどのメリットもありますが、その反面、意思決定の自由度やその集団の維持・貢献のために時間が奪われるといったデメリットも存在します。また、そこに属しているという対外的なイメージがマイナスに作用することもあるでしょう。
私の場合は、あえてデメリットの側面を憂慮して、特定の利益団体に所属したり、しがらみ関係を持つことを避けています。実際過去に私がカナリア社の企業再生に着手し始めた頃には地方の業界団体はすべて脱退しました。初めは団体の古参の方から陰口を言われたり脅迫めいた圧力をかけられることもありましたが、毅然とした態度を取り続けていると自然とそういったことも無くなっていきました。おかげで、多くの経費や時間が浮いて、それらをすべて変革のために費やすことができました。
以降私は、「つかず離れず」「囲わず囲われず」を対個人・法人との基本ポリシーにしているのですが、その絶妙な距離感がこんにちの余裕につながっていると確信しています。