便秘の4つの種類とは
①通過障がい
便の通過する大腸のどこかに細い部分があると起こるものです。赤痢などの重症の炎症を起こした後とか、手術後や、虫垂炎を抗生剤で散らした後の癒着とか、がんによる場合等です。炎症や癒着は長い間、便秘で苦しみますが、よく出ていた人が急に出が悪くなったら、大腸がんも疑って下さい。
がんはどこにでもできますが、肛門のすぐ上の直腸と、その上のS型に曲がったS状結腸の部分が一番多く、大腸がん全体の70~80%を占めています。がんはとても硬いので出口を締めつけて細い便になります。自分の便を見て、細い便の周りにまとわりつくような形で血がついていたら、ほぼ100%がんと考えて間違いありません。
②弛緩性便秘
大腸の筋肉の緊張がゆるんでダラッと垂れてしまい、便が直腸までいかず、まん中あたりで溜まってしまいます。直腸に便が来ないと、いくらお腹の中に便がいっぱいあっても排便したいという気にはなりません。
女性で痩せている人は胃下垂が多いのですが、大腸も下垂していることが多く、このタイプの便秘になりやすいのです。
また、下剤を飲み続けたり、逆にお腹が痛い時や下痢をした時に飲む鎮痙剤を連用してもなりやすいので、なるべく薬に頼りすぎないようにして下さい。
③けいれん性便秘
大腸壁の筋肉が緊張しすぎて、便が同じ場所に停滞するので、水分だけ吸収されてコロコロの石のようになってしまうタイプです。「うさぎの糞のよう」と表現されます。
便秘では食物繊維を多く摂るようにと指導されます。食物繊維は小腸で吸収されないので大腸の内容物が多くなり、腸管を刺激して動かすためです。しかしけいれん性便秘では、よけい緊張してしまうので逆効果です。かえって繊維の少ない下痢の時の食事のような残渣の少ない物を食べて下さい。
しかし落ちついてきたら繊維の多い物もよいでしょう。ストレスなどが誘因とされているので、安定剤を飲むとよくなる場合もあります。
④習慣性便秘
慢性便秘の中で圧倒的に多いのがこのタイプです。そして男性には少なく、ほとんどが女性です。
排便は、胃結腸反射が朝食後に一番強く起こります。直腸に便が溜まると、脳がシグナルを察知して「トイレへ行こう」と考えるのです。しかし、この時に遅刻しそうだからと家を飛び出してしまうと交感神経が緊張して排便を忘れてしまいます。そういうことを繰り返しているうちに、直腸にいくら便が溜まっても、信号を脳へ送らなくなってしまうのです。女性は朝がとても忙しいので、ついつい排便を我慢してしまいがちで、このタイプの便秘に陥りやすいということもあります。