経営者層の関心が薄れつつある

では日本では何が女性の活躍を阻んでいるのか。エン・ジャパンが人事担当者に実施した「企業の女性活躍推進実態調査」(2021年3月、400社)によると、女性社員の活躍推進における課題では「社内に女性のロールモデルがいない(少ない)」(43%)、「女性社員の意識」(43%)、「(育児中の場合)勤務時間」(32%)、「仕事内容」(31%)、「経営層の意識」(31%)、「管理職の意識」(30%)が上位に挙がっている。2018年調査との比較では「ロールモデルがいない」、「経営層の意識」がともに24ポイント増と高くなっている。3年前に比べて女性活躍に対する経営層の関心が薄れつつあり、取り組みが停滞しているようなイメージを受ける。

「管理職を望まない女性」が多いのは上司・会社側に原因がある

ロールモデルが少ないと回答した企業の中には「管理職以上の昇格を望んでキャリアを築く女性が少ない」(メーカー)という声。女性社員の意識では「家庭に重きを置き、仕事で活躍することを希望していない女性が多い」(金融関連)と関連する声もある。

管理職を望まない女性、仕事で活躍するのを希望しない女性が多いことを人事担当者は憂えているが、それは女性だけの問題なのか。リクルートマネジメントソリューションズの武藤久美子エグゼクティブコンサルタントは、むしろ上司・会社側に2つの問題があると指摘する。1つは上司のコミュニケーションが原因だ。

「女性に対してはなぜだか『課長になりたいか』『課長の仕事を全うできそうか』と、覚悟を問います。男性に対しては器が人をつくるという世界観の中で爽やかに任せようとするのとは対照的です。もう1つは『課長になれば給与も上がり、権力が持てるぞ』と、役職を説得材料にすることです。しかし、役職自体に魅力を感じない女性も多くいます」

あなたが一番ふさわしい、あるいは周りの人があなたにやってもらえたら部下としてうれしいと思っているといった言い方もできるのに、画一的な価値観を前面に出すことで昇格意欲を失わせる結果になってしまう。