セミナーでの質問でわかるカモになってしまう人
何をするにしても、セミナーに参加して知識やノウハウを得たからといってすぐにうまくいくほど投資や事業は甘いものではありません。自分で実践してみる、そして自分に合うやり方かどうかを考えた上でやってみないと何とも言えないのです。そもそもセミナーで成功の秘訣を一から十まで教えてもらい、その通りやれば必ず成功する! という考え方自体が間違っていると思います。
私が信頼するアナリストやエコノミストが開催するセミナーでは、金儲けの方法や儲かる銘柄を教えてくれることなどは一切ありません。情報の見方、判断のヒントになる話をその人自身の感覚でコメントしてくれるだけです。したがってあくまでもセミナーでの話を聞いた上で、自分で考えて判断をしなければならないのです。ところが自分では考えずに「儲かる方法や儲かる銘柄を教えてくれ」という人は実際に多いようです。そういう人たちがカモとしてちまたにたくさんいるからこそ「お金の増やし方」や「ビジネス成功の秘訣」みたいなセミナーが商売になるのだろうと思います。
結局、投資にしてもビジネスにしても成功するためには自分で考えるしかないのです。参加しても役に立つセミナーというのは「自分で考える」ためのヒントを与えてくれるものだと思います。成功やお金儲けのノウハウは、人によっても違うし、時代と共に変化し続けていきます。いつの時代でも必要なのは根気と柔軟な頭、そして少しの運でしょう。
1952年大阪府生まれ。オフィス・リベルタス創業者。大手証券会社で個人資産運用業務や企業年金制度のコンサルティングなどに従事。定年まで勤務し、2012年に独立後は、「サラリーマンが退職後、幸せな生活を送れるように支援する」という理念のもと、資産運用やライフプランニング、行動経済学に関する講演・研修・執筆活動を行った。日本証券アナリスト協会検定会員、行動経済学会会員。著書に『投資賢者の心理学』(日経ビジネス人文庫)、『定年男子 定年女子』(共著・日経BP)、『知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生』(東洋経済新報社)、『お金の賢い減らし方』(光文社新書)など多数。2024年1月没。