有料セミナーは大丈夫なのか

では、有料のセミナーはどうでしょう? 参加費をきちんと取って開催しているので、商品を売りつけられたりすることはない、と考えていいのでしょうか。恐らく無料セミナーに比べればそういうケースはかなり少ないと思います。ただ、問題は、その有料セミナー自体の内容です。払った参加費に見合うだけの値打ちがあるかどうかが大きな問題だと思います。

金融機関が主催するセミナーはその多くが無料で明らかに宣伝の意図があるということが容易に推測されますが、何らかの組織や個人が主催する有料セミナーの場合は参加してみるまで内容に価値があるかどうかはなかなかわかりません。ただ、価値がありそうかどうかをある程度予測することは可能です。

セミナー風景
写真=iStock.com/DIPA
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なぜ儲かるノウハウをわざわざ人に教えるのか

例えばよくあるのは、「お金の増やし方」みたいなテーマで開催される場合です。多くの場合、このタイプは投資で成功してお金持ちになった人などがその経験やノウハウを教えるというものが多いのです。あるいは自己啓発セミナーであれば、事業が成功する秘訣を伝授するみたいな内容のものですね。

でもこれは考えてみると少し不思議な気がします。仮に投資や資産運用で成功したお金持ちの人なら、なぜそんな少額の参加費を取って稼ごうとするのでしょう。そんなヒマがあるのなら、自分でトレードをやっている方がずっと稼ぎが良いはずです。あるいはビジネスで成功の秘訣を伝授すると言っても、そんな参加費数千円程度稼ぐくらいなら、自分が成功したビジネスを続ける方がよほど実入りがいいのではないでしょうか。「いや、それは成功した人がボランティアで、あるいは社会への還元という純粋な精神でやっているのだ」というかもしれませんが、それなら参加費だって無料にすればいいはずです。

ひょっとしたら、多分もうあまり稼げなくなってきたからこういうセミナーをやっているんじゃないだろうかということも考えられます。だとすれば稼げなくなったノウハウなんか聞いても役に立たないはずです。それに今でも投資や事業で儲かっているのなら、そちらが忙しくてそんなセミナーなんかやっているヒマはないでしょう。そもそも本当に儲かるノウハウならそれをどうしてわざわざ人に教えるのでしょうか。

また、参加費は通常はせいぜい数千円程度ですが、中には何万円とか何十万円という高額の参加費を取るものもあります。だいたいそういう場合に主催者が主張するうたい文句は「それだけの高額なお金を出すということで参加者の覚悟を問うている」ということが多いですが、それは実に怪しげな話です。