毎日どこかでマネーや自己啓発のセミナーが開催されている。有益なものを見分ける方法はあるのか。経済コラムニストの大江英樹さんは「私が信頼する主催者の会では、金儲けの方法や儲かる銘柄を教えてくれることは一切ありません。自分で考えずに『儲かる方法や儲かる銘柄を教えてくれ』と聞く人は多いですが、そうした人がセミナー商売のカモになっているのです」という――。
セミナーでプレゼンするビジネスウーマン
写真=iStock.com/Yue_
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セミナーがあふれるように開催されている

今、世の中にはさまざまなセミナーがあふれています。セミナーやイベントの申し込みサイトである「こくちーず」を見ると、今月中の開催だけで4000件近くありますし、他のセミナーサイトを見てもほぼ同様なので、全国で合計すれば1カ月に開催されるセミナーの回数は恐らく数万回になるものと思われます。私自身も自分が主催するセミナーは年間十数回はやっています。

その種類もさまざまなので自分の興味のあるものに参加することができるのは楽しみでもありますし、メリットもあると思います。でも私はセミナーへ参加するにあたっては、いくつか注意すべき点もあると考えています。特にお金に関するセミナーや自己啓発系のものについては気をつけておくことが多いように思います。

まずはセミナーとひと口に言っても無料のものと有料のものがあります。どちらの方が多いかはデータがないのではっきりとはわかりませんが、恐らく無料のものがかなり多いでしょう。中には単に無料というだけではなく、ホテルの会場でお茶やケーキ、そしてお土産まで付いた豪勢なセミナーもあります。こういうセミナーを「お得だ」と感じて参加する人もそれなりに多くいるから開催されているのでしょう。

なぜ無料で開催できるのか

でもそういった無料セミナーに「お得だから」というだけで参加するのではなく、そもそもなぜ無料でしかもお土産まで付いているのだろう? と考えるべきです。これは言うまでもなくマーケティングの手法としてやっていることなのです。もっと強い表現で言えば、「無料である、とかお土産や食べ物を提供するということをエサにしてばらまき、そこからお客さんを釣り上げようとしている」と言っても良いでしょう。でもこれは業者としては当然のことです。主催者が会場費やお土産などのコストをかけてまでやるのですから、そこからリターンが得られなければ丸損になってしまいます。

中にはできたばかりの製品やサービスを試してもらうために純粋に「広告宣伝」としてやっているというケースもあるでしょうが、メーカーなどとは違って金融系のものであれば、そういうことはまずないでしょう。やはり自分たちの金融商品を買ってもらいたいか、あるいは新たに口座を開設してほしいという狙いがあるに違いありません。したがって、自分がその金融商品に興味があり、詳しく話を聞きたい、あるいは聞いて自分が納得するまでは勧められても安易に買わないという意志を持って臨むのであれば、そんな無料セミナーに参加するのも良いでしょうが、後から気が付くと巧みなセールスによって衝動的に買ってしまったということも大いにあり得ますので、気をつけることが必要です。