「表情が見えづらいオンラインでは、先方が本当に理解してくれているのかがわかりにくいので、こちらが一方的に説明したり、単純な質問と回答の往復だけになったりしないようにしています。こちらの意図が正確に伝わっているかをこまめに確認したり、質問がないか問いかけたり。会議や打ち合わせの前後の何げない会話から先方の状況をできるだけ多くキャッチすることも大切です」

子育てと在宅ワークを両立し効率的に仕事をこなす一方で、できないことは割り切る大切さも。
子育てと在宅ワークを両立し効率的に仕事をこなす一方で、できないことは割り切る大切さも。

会議が始まる前は議題のポイントを、会議の最後にはまとめを明確にすることで、会議の意義を全員が共有。オンライン会議では、画面上で資料を共有しながらやりとりするので、自分を映すビデオはあえてオフにして資料に集中できるようにする。

「私のように自宅から参加する人もいるので、参加者全員がビデオ機能をオンにすると回線に負荷がかかり不安定になることもありえます」

営業の成否は、オンラインに限らず、いかに「ストーリー」を伝えられるかにある、と鈴木さん。

「提案内容の背景や効果をわかりやすく伝えるために、クオリティーの高い説明動画を制作。これもストーリーを伝えるひとつの武器です」

社内の動画制作専門部署で提案内容をわかりやすく動画にまとめて結果につなげる。
社内の動画制作専門部署で提案内容をわかりやすく動画にまとめて結果につなげる。

対面営業の時間をいかに充実させるか

2年以上続くコロナ禍で、リアルとオンラインのハイブリッド営業がスタンダードとなりつつある。

「ハイブリッド営業では、いかに対面の時間を充実させるかが大きな鍵です。貴重なチャンスであるリアルの対面で、少しでも多くの情報をキャッチすること。そのためにはいつも以上に綿密な準備が不可欠ですね」

鈴木悠里衣さん

対面の機会が貴重なのは、クライアントだけではなくチームメンバーも同じだ。出社時は新型コロナウイルス対策に注意しながらランチ会をするなど、リアルなコミュニケーションもできるだけ持つようにしている。オンラインの定例ミーティングでも、最初に「1分スピーチ」などでお互いの近況を伝え合い、単なる報告や相談で終わらせずに距離を縮めるようにしているという。

鈴木さんはオンライン主流で仕事をするメリットについて、次のように語る。

「リモートワークになって、格段に時間を効率的に使えるようになりました。以前に比べて、1日にこなせる会議やタスクは1.5倍に増えています。その分、予定をブロックしてひとりで頭の中を整理したり、アウトプットしたりする時間も意識的に確保するようにしています」

鈴木悠里衣(すずき・ゆりえ)
富士通キャリア事業本部マネージャー
1982年生まれ。2005年に富士通入社後、携帯通信会社のアカウント営業を担当。情報システムからネットワークまで幅広く提案活動を経験し、18年度からはマネージャーとして5Gを活用した新規サービス企画・提案をする。

撮影=回里純子

工藤 千秋(くどう・ちあき)
フリーライター