周りの人の目は厳しかった
4人の子どもを育てながら、仕事でキャリアアップしていくのは並大抵の苦労ではなかったはずだ。組織や社会の中で、出産や育児について理解されにくいと感じたこともあったのではないか。
「周りの人の目がかなり厳しかったと思います。何でこんなに早く帰るんだろうとか、また母乳を飲ませるために居なくなったとか、いろいろ見られていたので。自分は一生懸命働いて、ちゃんと結果を出していても、まだ足りないと思ってしまう。女性は男性以上に頑張らなきゃいけないというところがありました。産休がなければ自分で作ればいいと私なりに工夫したけれど、人の目は無くならないんです。自分がやりたいことをやるならば、他の人にちゃんと両立できることを見せなければと、最初の頃は頑張りすぎましたね。4人目のころには気にならなくなりましたが」
子どもの送り迎えのため1日3時間車を運転する
子育ても100%こなすことはできないから、妥協するところと、これだけは絶対に守るということを決めた。例えば、自宅はカリフォルニアの山沿いの地にあり、街の学校や習い事に通う子どもたちの送り迎えが欠かせない。夫と分担しても一日3時間以上は車を運転するが、それも大事な時間になっていた。
「車の中では子どもたちもすごく話してくれるんです。『今日どうだったの?』と聞くと、ちょうどアクティビティが終わったばかりだから、全部報告したいでしょう。うちの子たちは報告魔なので、皆で競って私にいろんなことを教えてくれます。子どもにとってはママが自分のことをわかってくれたと満足するし、親としては子どもの健康や生活をチェックできる。私にとっては幸せな時間なので、仕事のカレンダーの中でも送り迎えの時間は譲らないようにしています」
毎晩、家族揃って食事することも大切にしている。その間はデバイスを手放して仕事のことも考えない。短時間でも子どもとちゃんと過ごすことを心がけ、毎日チェックするリストも作っているそうだ。「『MEリスト』と呼んでいるんですけれど、子ども一人ひとりと10分は時間をとって話せたか、ということもリストの1つの項目で、実現できるようにスケジュールを工夫しています。うまくいかない日ももちろんありますが、毎晩、その日1日を振り返るようにしています」