恐怖のクラス役員決めには参加しない

クラス役員決めについても、入会届を出していないのに参加を求められた場合は、「PTAに加入した覚えがないので出席しかねる」と伝え、校長先生に入会届の配布を求めるといいかもしれません。「希望しない人に活動を強制しないでほしい」または「活動が強制なら加入しない」と伝えるのもいいでしょう。

漫画=おぐらなおみ ※『さよなら、理不尽PTA!』より
イラスト=おぐらなおみ 『さよなら、理不尽PTA!』より

タイミングはいくつか考えられます。どの委員をやるかという調査票(アンケート)が配られた場合は、その提出時でもいいですし、あるいは「入学式や保護者会の後にクラス役員決めをします」というお知らせを受け取ったときに伝えてもいいと思います。

いずれにせよ、加入前なので、PTAでなく校長先生にお手紙等で伝えればいいでしょう。調査票に記入して提出するだけだと見落とされてしまうことがあるので(筆者が経験済みです)、別の紙に用件を書き、「校長先生宛て」と明記するのがおすすめです。

大塚玲子(著)、おぐらなおみ(イラスト)『さよなら、理不尽PTA!』(辰巳出版)
大塚玲子(著)、おぐらなおみ(イラスト)『さよなら、理不尽PTA!』(辰巳出版)

当日に言いだすのは、できれば避けたほうがよいと思います。クラス役員決めが始まってから、特にクジやじゃんけんで役にあたってから「PTAに入っていない」と言うと、おそらくまず揉めます。役員決めが始まる前に退席しましょう。

もし後で、先生や役員さんから電話で委員をやるように求められた場合は、電話番号をどこから入手したか確認を。学校からとしか考えられませんが、もし学校がPTAに個人情報を提供することについて、あなたが同意していないのであれば、学校の個人情報の取扱いが不適切です。後日、校長先生に連絡をして、改善を求めるのがよいかと思います。

なお、PTAに入らない予定ならそのままでよいのですが、もし「クラス役員をしなくてよいならPTAに入りたい」と考えている場合は、その旨も伝えましょう。

誰もが役員になって組織改革ができるわけではない

ときどき「PTAを変えたいなら、役員になって自分で変えろ」という声を聞きますが、誰もが役員になれるわけではありませんし、誰もがそこに時間や労力を費やせるわけでもありません。「政治に不満があるなら、議員になって自分で変えろ」と言われたら、「いや、そこまではちょっと」と困惑する人が多いと思いますが、それと同様でしょう。

大塚 玲子(おおつか・れいこ)
ノンフィクションライター、編集者

1971 年生まれ。東京女子大学文理学部社会学科卒業。PTAなどの保護者組織や、多様な形の家族について取材、執筆。著書は『ルポ 定形外家族』(SB新書)、『PTAをけっこうラクにたのしくする本』『オトナ婚です、わたしたち』(太郎次郎社エディタス)ほか。共著は『子どもの人権をまもるために』(晶文社)、『ブラック校則』(東洋館出版社)など。東洋経済オンラインで「おとなたちには、わからない。」、「月刊 教職研修」で「学校と保護者のこれからを探す旅」を連載。ひとり親。定形外かぞく(家族のダイバーシティ)代表。