歪みを防ぐには相続税を100%か0%にする
かつてのように、若い世代がどんどん増え続け、アパート需要が伸びていく確信が強かった時代ならばいざ知らず、今後の日本社会の向かう絵姿がこれほど克明に見えているはずなのに、アパートに入居する客はどっかから湧いて出てくる、とりあえずアパート業者が賃料は保証すると言っている、程度のリスク認識で巨額のおカネを不動産投資につぎ込むのは、あまりに歪な投資の姿だ。
こうした歪んだ不動産投資を防ぐにはどうしたらよいだろうか。それは、相続税を100%にするか0%にすることだ。どちらも節税ニーズは吹っ飛ぶからだ。100%なら子供に残す財産は、相続時にはないから積極的に贈与するようになるだろう。
贈与税率も上げる、あるいは子供にその時点での時価で買わせるようにすればよい。子供からみていらない資産であれば贈与を拒否すればよい。社会的な公平性も担保されるだろう。
いっぽう0%では、階級格差はどんどんついていく。だが、子供も収益力のない不動産なんていらないと言い出すだろう。税の心配がないため無理な投資もしなくなるはずだ。過剰なアパートなどの貸家建築はかなり減少するはずだ。
不動産投資の未来は、悪徳不動産業者や税理士、金融機関のタクトで節税狂騒曲を奏でるのではなく、収益力とリスクをきちんと精査した本来の投資マーケットが育つことを望みたいものだ。
所得税を軽減するワンルームマンション投資
節税目的の不動産投資のもう一つの動機が、所得税の節税ニーズである。日本は所得税率の累進性が高いため、一定以上の所得になると稼ぐ割には実入りが少ないという不満が出る。これを不動産投資することで見かけ上の赤字所得をこしらえて、所得を下げ、結果的に節税しようというものである。
この目的に適った投資がワンルームマンション投資である。節税効果という意味ではワンルームでなく、1LDKでも2LDKでも構わないのだが、効率が最も良いのがワンルームなのである。
まず、ワンルームは1戸が面積で6坪から8坪程度、投資総額も1000万円台から2000万円台が多く、サラリーマンでも高給取りであれば手が出る範囲である。また、ワンルームは1LDKや2LDKに比べて投資効率が高い。東京都心であればワンルームは坪当たり1万2000円から1万5000円程度とれる。
これがファミリー向けになると賃料単価は下がってしまう。面積の拡大に家賃が比例してくれないからだ。つまりワンルームマンションは収益性もファミリータイプに比べて高いといえるのだ。