面接官から土産話をもらうのではなく、こちらが提供する心意気

2 就活は相対評価である

1で就活を戦い、と表現しましたが、そこには2つの戦いが待ち受けています。

・自分との戦い
・他者(ライバル)との戦い

です。

自分との戦いは、自己分析・自己PR・志望動機などを練り上げていく作業です。これは結構辛いはずです。私も経験しているからわかりますが、日本の高等教育において「お前は何者だ」と教師が生徒にレゾンデートルを問いかける講義なんて聞いたことがありません。それが就活になるといきなり最重要課題になるわけですから、しんどいに決まっています。

一方、他者との戦いは、自分が通う大学以外の学生との戦いです。「面接で自分を語り切った」上で「他大学の学生と比較されて」、面接の合否は決まります。無論、最終面接にどんな大学の子が残るかなんて誰にもわかりません。

つまり、「自分を語り切る」だけでは面接には受からないのです。自己を研ぎ澄ますことは、必然他者との比較を含んでいます。あなたがもし人も羨む有名大学の出身ならばその心配は少ないかもしれません。しかし、有名大学ですら学内で熾烈しれつな競争が繰り広げられています。

面接を受ける女性
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです

もしそうでない大学であるとしても悲観する必要はまったくないですが、その企業の採用の傾向をきちんと調べ上げ、もし自分の大学からあまり採られていないとしたら、やはり限られた椅子に自分をねじ込むための「周到な戦略」が必要なのです。

3 面接官と戦ってはいけない

試験を受ける側からすれば、ともすれば憂鬱になりがちな就活ですが、では買い手である企業の側の心情はどうでしょうか。想像したことはありますか? 受け手からすると威圧感たっぷりに品定めをされているように感じるでしょう。しかし彼らの思いは単純で「一緒に働きたい仲間を探している」だけです。

多くの企業が、筆記・数回の面接・グループディスカッションを経て内定を出すという方式を取っていて、面接官には多くの場合、段階的にその会社の若手・管理職クラス・役員クラスが配置されます。どの段階でも基本的な面接スタンスは同じ。「将来、こんな人と一緒に働いたら楽しそう、会社に貢献してくれそう」という学生を見つけようとしています。

就活は戦いと書きましたが、面接官と戦ってはいけません。

では、どうすればよいのか。

面接官とは「仲良くなる」ことです。これにつきます。

もちろん、自分の意見を堂々と論じることは必要ですが、相手はその業界の海千山千の先輩。社会人経験のない状態で、声高に自分の主張のみを押し通そうとしても見透かされてしまいます。

私はよく学生さんに「面接官は忙しい業務の合間を縫って面接を社から依頼され、こなしています。基本は優しく接してくれるはずですが、彼らも人間です。疲れているし、イライラしがちな時もあるでしょう。ならば、君たちに必要なのは『サービス精神』です。『今日はこんな面白い学生と会って得をした』『自分たちの仕事もまだまだ捨てたものじゃないと気づかされた』と、その面接官が帰宅してから家族に話したくなるような印象を残すようにしてごらん。少なくとも、そう思うだけで面接に向き合う気持ちは変わるよ」と。

つまり就活を、

「企業の担当者に面接を受けさせていただく場」と捉えるのか、
「企業の担当者とサービス精神を持って接点を探す場」と捉えるかで、

その結果はまったく違ってくるのです。