「家から一歩も出ない」わけではない

(3)家の中でずっと過ごしている

ひきこもりの人は、ずっと家の中におり、いつも自室にいるというイメージがありますが、これも間違いです。2018年の調査では、15~39歳のひきこもりの人のうち「自室からほとんど出ない、または自室から出るが家から出ない」という人は10.2%でした。約9割の人はコンビニに買い物に行ったり、趣味に関する用事があれば外出したりしています。

(4)病気のためにひきこもっている

「病気のせいでひきこもっている」と考えている人も多いですが、「ひきこもり=病人」ではありません。もちろん何か疾患があって、家から出られずひきこもりになっている人はいます。また、確定の診断が出ていないだけで、実は統合失調症などの精神疾患があったり、発達障害があって他人とコミュニケーションがうまくいかないという可能性もありますが、すべてではありません。

はっきりしたデータはないため、私の肌感覚になってしまいますが、ひきこもりで病院に相談にくる人で医療介入が必要だったり、病気の可能性がある人というのは半分以下という印象です。

子どものひきこもりのことで私のところに相談にくる親も、「何か病気のせいでひきこもっているのではないか」と思っている人が非常に多いです。しかし、実際は病気であることのほうが少ないです。

ただ、親だけが相談に来たところで、解決できることはほぼありません。というのも、精神科に限らず病院というのは、直接本人から心身の状態を聞く必要があり、そうでないと診察ができないので、何もしようがないのです。

カウンセリングを受ける男性
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです