副業も視野に入れて
一方、パラレルキャリア、セカンドキャリアを考えてみるのはいかがでしょう。いきなり始めるには、リスクが大きいため、副業から始めてはいかがでしょうか。副業ならば、比較的簡単にスタートができます。
副業には、さまざまなものがありますが、できれば将来のスキルアップにつながる仕事を選びたいです。自分のスキルを使ってすき間時間でできる「タイムチケット」や「ココナラ」などの「時間売り」の仕事で顧客を広げたりするのもいいでしょう。最初は小さな仕事でも、あなたの仕事ぶりを見てくれる人はきっといます。
また、資格を取得して副業につなげるという方法もあります。たとえば、ペットが大好きという人は、休みの日だけできる「ペットシッター」という副業があります。「ペットシッター」には、とくに資格は必須ではありませんが「動物取扱責任者」という民間資格をもっといると信頼度はアップします。また外国語が得意な人は、「通訳案内士」という資格があります。これは日本に訪問する外国人を案内して報酬を得る仕事です。
ある女性は、保育園で保育の仕事をしていました。20年のキャリアがあるといっても国家試験を持っていなかったので、いつも若い保育士と同じかそれ以上に働いても、保育士以下の給与です。そこで保育士講座を受講して、みごと試験に合格できました。今では若い保育士を指導する管理職になることができました。もちろん給与もアップです。
また、ある女性は事務職でしたが、パソコンが得意でした。ある日、知り合いから、ホームページの制作を個人的に頼まれたのをきっかけに楽しくなり、自分にはこれが向いているのでは、と思ったのです。それから夜はWebデザインの学校に通ってスキルを学びました。その後、副業でWebの仕事をしているうちに依頼が増えて、ついには会社を辞めて、本格的にWebデザインの仕事を始めたのです。
また、「中小企業診断士」の資格を持つと転職の際にとても役に立ちますし、「ビジネス統計スペシャリスト」の資格は、ビックデータ時代には必要な資格なので大きな強みになるでしょう。「ITパスポート試験」も就職に役に立ちます。
会社員にこだわらずに自分の道を
筆者自身も、就職には失敗しました。マスコミ志望で受けた会社はすべて落ちて、しばらく無職でしたが新聞の募集で出版社の営業社員として就職。しかし編集の仕事をしたかったので、夜間のエディタースクールに通い、転職しました。
その後40歳のときに、フリー編集者として独立。50歳から資格の専門学校に通いFPの資格を取得して、お金・老後資金などの記事をさまざまなメディアで発表するようになりました。このように少しずつスキルアップをしながら、セカンドキャリアを歩んできました。
会社員だけにこだわらず、自分のやりたいことを見つけ起業することだって考えられます(その場合は、国民年金基金などを利用して備えることも大切)。
収入に余裕がでれば、貯蓄もできるようになります。その時は「つみたてNISA」などを利用して効率的に増やすようにしましょう。
自分の可能性にふたをしないで、さまざまな選択肢を考えることが大切です。キャリアというのは、会社から与えられるものではなく、自らつかみ取るものです。そのためには、自分の好きなこと、やってみたいことを書き出してみるのもよいでしょう。
それがどう仕事と結びつくのかを考え、小さなことからチャレンジしていくことです。ワンステップで大きな成果が表れなくても、少しずつ自信を付けていくことで果実はきっと実ります。
老後を「アタリ」に変えるたった一つの心構え
たまたま「就職氷河期」に当たったからといって、生涯の雇用が決まってしまうというのは、あまりに不条理ですね。
本来は、国が動いて公助によって支えるべきものですが、いまの政府を見ているとすぐに動いて改善することはできないように感じます。必要な制度が整うには、まだまだ時間がかかってしまうかもしれません。
そうであれば、待っているだけでは「手遅れ」に近づいてしまいます。できるだけ生活を安定させるためにも、長く働くためのチャレンジが必要です。
たしかに、40歳から正社員を目指したり、新しい仕事を始めたりするのは、簡単ではないと思います。しかし、一歩足を踏み出すことで新しい人生の扉が開くとしたら、絶対チャレンジしてみるべきです。たとえ最初の就職が「ハズレ」でも、人生の後半は「アタリ」に変えたいもの。まずは、「あきらめずに動く」ということをオススメします。
徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。新聞・雑誌・Webなどで「お金」をテーマに幅広く執筆。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『こんな保険には入るな!』(廣済堂出版)、『とっくに50代 老後のお金どう作ればいいですか?』(青春出版社)、監修書には年度版シリーズ『NEW よい保険・悪い保険』(徳間書店)など多数。