今後の30年間を大切にする
では、どうすればいいのでしょうか。その答えとしては、老後の大切な資金である公的年金を増額することです。その自分の年金というのは、国が決めている、なんて思っていませんか。それは間違いです。自分の働き方で年金額は変わりますし、年金を増やすことだってできるのです。
公的年金を増やす方法には、「年収を増やす」「長く働く」「年金の受け取りを遅くする」の3つのやり方があります。
まずは、「年収を増やす」です。正社員に転職するだけが給与アップのやり方ではありません。年収を増やして長く働けるキャリアを身につけることが近道です。もう40歳になっているのだから、「いまさら何をやっても手遅れでは」と思っているかもしれませんが、いまからでもまだ遅くありません。
「人生100年時代」と言われているように70歳まで働くのが当たり前の時代になっています。40歳ということは、これまで20年近く働いてきていると思いますが、これからまだ30年は働くということになります。
ですから、これからの働き方が重要になります。働き方を変えるだけで、老後生活を安心できるものに変えることができます。そして増えた年金を繰り下げれば、もっとゆたかな老後を実現できるのです。
目の前の手取り額より遠くの厚生年金
パートやアルバイトなどで働いている人で、手取りが減ってしまうと考え、あえて労働時間を減らして厚生年金に加入していないケースがあります。しかし、それでは将来の年金額が少なくなってしまいます。わざわざ手取りだけを考えて給与を少なくする必要はありません。できるだけ給与を上げることを考えるようにしたいです。
2022年10月に年金の法律が改正されます。それまでパートなどの短時間労働者の厚生年金の加入は、被保険者(短時間労働者を除く)の総数が「常時500人を超える事業所」でしたが、「常時100人を超える事業所」へと適用が拡大されます。さらに2024年10月には50人超の事業者に拡大されます。そうすれば、いままで厚生年金に加入できなかった人も加入できる機会が増えます。将来のことを考えたら、できれば厚生年金に加入することが重要です。
また、契約社員やパート(有期契約労働者)が5年を超えて更新された場合、期間の定めのない労働契約に転換することができます。これは、2018年4月からスタートした「無期転換ルール」です。これは労働者側から申込みをする必要があります。しかし会社側はそれを断ることはできません。5年間頑張れば、雇用が安定するということです。