ロスジェネのシングル女性の問題はさらに深刻

とくにこの年代の女性は、男性に比べてもさらに非正規雇用が多いです。残念ながら女性で非正規雇用になると、男性より給与が少ないのが現状です。

厚生労働省の「令和2年賃金構造基本調査」によると、40〜44歳の非正規雇用の平均月収は約21万円で、男性が約24万円、女性が約20万円です。ちなみに正社員の平均月収は約34万円ですから、10万円以上の差があります。これでは男性も女性もなかなか結婚をして、子どもを育てられる状況ではありません。

それどころか一人暮らしをすると家賃を支払うのもままならないため、実家暮らしの人が多いと想像します。

親と同居をする「パラサイト・シングル」と呼ばれる中年期の人たちです。しかしいずれ両親も高齢化してきています。そこで問題になるのが70代の親に40代の子どもという「7040問題」です。なかには、家事手伝いということで、国民年金を支払っていないケースもあります。

生活保護を受けるのは簡単ではない

では、非正規雇用の40歳シングル女性の将来、どんな老後生活になるのかをシミュレーションしてみましょう。

たとえば、65歳までの43年間の平均月給が20万円としたら、厚生年金が約56万円、基礎年金が約78万円で合計約134万円ぐらいになるでしょう。65歳からは月額約11万2000円の年金になってしまいます。たとえ、70歳まで働いたとしても、年金の月額は約11万7000円です。

これでは生活を維持することはできません。生活保護以下の生活になります。非正規社員のままでは、70歳まで働いても生活保護という道へ進まざるを得ないという悲しい結果になると思います。70歳で仕事を辞めたとしても、女性の場合は平均90歳ぐらいまでは生きています。20年以上の生活が残っているのです。

ストレスのたまった女性
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生活保護になれば、生活自体は安定するかもしれません。しかし簡単に生活保護を受けられるか、というとそうではありません。働くことができれば、生活保護は難しいですし、車や自宅を所有していると当然売却が前提です。何よりも親・兄弟に連絡され、生活を支えることができるかどうかの確認をされることになります。

さまざま理由で生活保護レベルであっても、生活保護を受けられないとか、受けたくないということになるのです。