※本稿は、加藤俊徳『45歳から頭が良くなる脳の強化書』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
「若いころは頭がもっとシャープだったのに…」
「最近、もの忘れが多くなった」「人の名前が覚えられない」「まったくアイデアが浮かばない」「集中できない」……40歳を過ぎてこんな実感をしたとき、あなたは「もう歳だからしょうがない」と考えてはいないでしょうか。でも、それは間違いです。
加齢によって脳の中の神経細胞が減ったり、記憶に関係する「海馬」という部分が萎縮したりすることは現実としてあります。でも、脳の機能低下の原因は老化だけではありません。
あなたは1日に5分でも、その日の出来事を振り返る時間を持てているでしょうか。1週間のうちにどのくらい、スマホを持たずに屋外に出て、自然の声に耳を傾けているでしょうか。
40代といえば、仕事や家事に最も忙しい世代。「そんな余裕はない」と怒られてしまいそうですが、そうしたちょっとした日々の時間が、実は脳にとっては大量の情報を整理して記憶を定着させ、本来の機能を取り戻すためにとても貴重な時間です。
ただ時間に追われ、マンネリ化した日々を送っていると、脳は「自動化」して、怠けることを覚えて働かなくなっていきます。ただでさえ、スマホやパソコンが「記憶装置」として働くことで、脳はすっかり楽をするクセがついてしまっているのですから。
脳は死ぬまで成長する
脳は、あなたが生まれ落ちる前から成長を始め、生後の経験によって形を変えながら、40代になろうと、80代になろうと、100歳を超えても成長を続ける。「死ぬまで成長する器官」なのです。
これは、脳内科医で脳科学者でもある私が、これまで1万人以上の脳のMRI(磁気共鳴画像診断装置)画像を診て実際に確認した事実です。
あなたの脳は今、多忙かつ便利すぎる日々の中で、ちょっと怠けてしまっているかもしれません。でも、あなた自身が意識をして、日常生活の中で脳に刺激を与えることで、脳は目覚めて活性化し、3カ月もあれば生まれ変わったように変化します。
とくに40代、50代という世代こそ、脳を鍛えることによって今後の人生が輝かしいものになるか、そのまま放置して老化していくかの分かれ目です。