強制されるとやりたくなくなる

実際、ある相談者にこの方法を提案したところ、親が決めたルールを無理に守らせているわけではないので続けやすいうえに、「自分の発言に自分で責任を持つ」ことを学ぶ練習になると実感されていました。

子どもは、最初はうれしそうに3時間のゲームを楽しんでいたそうです。しかし、さすがに毎日どんな時でも3時間もゲームをやるのはしんどいのか、親から強制されるのが気分が悪いのか、約束を守らないことが出てきたというのです。

そこで、約束を見直すことにして、ゲームをする時間や頻度を減らすことになりました。これを繰り返すと、子どもは強制されるゲームに義務感を持つようになり、続けるのがつらくなってきました。

半年くらいかけて、最終的には「週5日、1日1時間以内」という約束に落ちつきました。ここまで来ると、週5日ゲームをやらない日があっても、親の方は無理してゲームをさせたりはせず、そのまま様子を見るようになったそうです。

なかなか勇気のいる方法ですが、どうせ放っておいても何時間もゲームをしてしまうのであれば、一度やってみてはいかがでしょうか。

構成=池田純子

井上 智介(いのうえ・ともすけ)
産業医・精神科医

産業医・精神科医・健診医として活動中。産業医としては毎月30社以上を訪問し、精神科医としては外来でうつ病をはじめとする精神疾患の治療にあたっている。ブログやTwitterでも積極的に情報発信している。「プレジデントオンライン」で連載中。