自分の「意志」だけに頼らない

そもそも、目標を立てて新しいことを始めても、なぜ三日坊主で終わってしまうのでしょうか。ダイエットや英会話、資格取得の勉強……途中で挫折したことのある人は少なくないでしょう。人間は、楽なほうに流れる動物だからです。ですから、自分の意志の力だけで実行しようとしても難しい。実行するための環境を整えることが大事なのです。

何か新しいことを始める、行動を起こすときの流れを、「目的」「行動」「結果」に分解して考えてみましょう。例えばダイエットであれば、「○キロやせたい」という目的が、「ランニングをする」という行動につながり、減量という結果がある。英会話であれば、「TOEICで○点を取る」という目的に対し、「毎日夕食の後、1時間勉強する」という行動、TOEICのスコアアップという結果があります。

このうちの「行動」の前と後が大事です。

まず、行動の前には、その行動を促すためのフックをたくさん作りましょう。フックをいかに多くつくるかが、続けられるかどうかを決めることになります。逆に、フックが少ないと三日坊主になりやすい。

ポイントは「フック」と「ごほうび」

たとえば仕事が終わり、家に帰ってからスポーツジムに行こうとする場合を考えます。いったん家に帰ると、そこからまた支度をしてスポーツジムに行くのはおっくうになってしまいます。でも帰宅せずに仕事からスポーツジムに直行するようにすれば、続けるハードルがかなり下がります。「家に帰らず仕事から直行」がフックになっているわけです。

朝、ランニングしようという人は、ランニングウエアを着たまま寝て、起きたらすぐに飛び出せるようにするのもいいかもしれません。早起きをして着替えるという面倒くささが軽減されます。

スポーツジムに行くのも、一人だとサボりやすいですが、友だちと一緒に行くようにする。スポーツジムで友だちをつくるのもいいでしょう。昼休みに筋トレの動画を見るなどして、気分を盛り上げておくこともフックになります。

そして「行動」の後には、「ごほうび」を用意します。これが、行動を起こすための動機付けになります。「週に3回続けたら、ちょっとおいしいスイーツを少し食べていいことにする」「週末にちょっといいお酒を飲むことにする」など、自分で自分の鼻先に「にんじん」をぶらさげるわけです。

「行動」の前には、行動するハードルを下げるためのフックをたくさん作る。そして、「行動」の後には、モチベーションになる「ごほうび」を用意すること。こうして、続けるための環境を整えるのです。

だいたい3週間くらい続けると、行動は習慣になります。さらに続けると、フックやごほうびがなくてもできるようになるはずです。むしろ、やらないと気持ちが悪くなり、やらないことのデメリットが出てきます。ですからまずは何とか3週間続けてみてください。