暴落時に初めて買った時は手が震えた

結果として、売らなかったのは大正解だったのですね。その次にやってきた暴落が2008年のリーマンショックですね。その時はどうされましたか?

大江英樹『となりの億り人』(朝日新書)
大江英樹『となりの億り人』(朝日新書)

「そこでは買いましたよ(笑)。当時は株式ファンドで手数料が安いものを毎日最低10万円程度買っていました。でも暴落時に初めて買った時は恐ろしくてネットで購入のクリックをするマウスを持つ手が震えていたことを今でもおぼえています。でも慣れてくると下がったところをチャンスと考えて大胆に買えるようになり、多い時は一日100万円ずつ買ったこともありました」

こん吉さんは今でも毎日9万円ずつ7銘柄の投資信託の購入を続けていると言います。ドルコスト平均法で、毎月銀行引き落としで購入する人は多いですが、こん吉さんのように自分で購入手続きをして毎日買い続けている人というのはあまり聞いたことがありません。

「いや、私はもう仕事も引退しているので、ヒマだからできるんですよ(笑)。それにいつが買うのに良いタイミングかなんて誰にもわかりませんよね。だからとにかく少しずつ毎日買い付けていきます。たまたま昨年みたいにコロナ禍で大きく下げた時は喜んで買い増ししますけどね。あと、私は基本的には買った投資信託は売りません。売るのは運用方針に疑問を感じたものだけです。それだけ運用報告会等にも参加して丁寧に状況を聞いていますから」

それにしてもよく毎日買いを続けることができますね。現金もかなりゆとりを持っていらっしゃるんでしょうか?

「ええ、今でも資産の25~30%ぐらいはMRF(短期金融商品などで運用される元本の安全性の高い投資信託。証券会社での普通預金のようなもの)とか預貯金といった現金に近いものを持っています。いつ暴落があるかなんてわかりませんからね。そうなってもすぐに買えるように待機資金は一定額持っておかないと、と思っています」

投資信託中心で運用を続ける理由

こん吉さんは運用資産の大半を投資信託で保有しています。これには何か理由があるのでしょうか?

「株も7%(3000万円)ぐらいは持っていますけど、ほとんどは投資信託ですね。私は銘柄を研究したりするのが苦手なんです。でも運用会社を選別するのは得意です(笑)。今までにいろんな運用会社の説明会に何度も何度も出かけ、わからないことはその場で聞いたり、運用会社に直接電話したりして詳しく聞きます。その対応を見ていたり、実際に運用会社の人が自分のお金で自分たちの商品を買っているかどうか等、聞き込んでいくと信頼がおける会社かどうかが大体わかってきます。これはあまり外れたことがありません」

具体的にはどんなタイプの投資信託が多いのでしょう?

「現時点での保有比率を書き出してみました。個別株もアクティブ運用なので、それをアクティブ型に加えると、面白いことにちょうどインデックスとアクティブと待機資金が3分の1ずつになっています。特に意識したわけではないですが、結構バランスは良いですね」