「正義感型」と「炎上参加型」
攻撃的な投稿をする人には、「正義感の強い人」と「炎上参加型の人」の2つのタイプの人がいます。くわしく説明しましょう。
まず正義感の強いタイプから。たとえば芸能人の不倫というニュースは多くありますが、もともと自分の生活には全く影響はなく、関係のないことのはず。それなのに正義感の強い人は、その正義感ゆえに「何か制裁を加えたい」という欲求が生まれてしまいます。こういう人の根底には“公正世界仮説”を信じる気持ちが強くあります。
公正世界仮説とは、何かいいことをすれば、いいことが返ってきて、悪いことをすれば罰せられるという考え方。だから正義感の強い人は、悪いことをしている人を見ると罰されて当たりまえと思うようになる。
では、なぜこの考え方が強くなるのか。その背景には、「自分はこれまで頑張ってきてうまくいった」という成功体験の積み重ねがあるのです。それが「頑張ればいいことが起こり、悪いことをしたら罰せられる」という考えに輪をかけていくのです。
こういう正義感をもって攻撃するタイプの人は、一定の高い役職に就いていたり、収入が高かったりと、いわゆる社会的に成功している人が多いという調査データがあります。世間的には、ネット中傷に加担しなさそうに見える人が多いのです。
そういう人が他人を攻撃せずにいられないのは、やはり悪を批判しないと自分を肯定できないからでしょう。社会的に成功しているように見えて、実は周りに自分を認めてくれる人がおらず、孤独感や孤立感を感じているのです。だからこそ、自分の正しさを認めてほしいという欲求が強い。そういう人の「あなたは正しいと認めてほしい」という欲求が強くなると、ネット上で誹謗中傷に近いことを書いてしまうのです。
攻撃しないと認めてもらえない
一方、炎上参加型の人は、正義感も世直し欲も特にありません。ただ「何か不快なことやいやなことを生み出す人間は、とりあえず攻撃していい」と認識して攻撃してしまうのです。
このタイプの人は、現実社会では、いわゆる社会的弱者が多い。不満があるのにちゃんと言えない、言いたいことがあっても常に我慢しなければいけないと思わされる立場にある。でもネット上なら匿名だから、我慢せずに言いたいことも言えるし、悪いことをしている人に「悪い奴だ!」と攻撃しても、自分が否定されることもない。そこで相手を倒せば、ふだん得られない快感や興奮を得ることができる。ある意味、憂さ晴らしを目的に炎上に参加するわけです。
結局、どちらのタイプも攻撃的な内容を投稿して、“いいね”が押されたり、リツイートされたりすると、「やはり自分は正しいんだ」と承認された気になります。それこそが自分の存在の証明になるので、攻撃しないと誰からも承認されないし、自分の存在もなくなってしまう。だからどんどん投稿がエスカレートしていくわけです。まさに中毒です。