ネットでは、つながりを断つ練習を
とはいえブロックすること自体に抵抗感がある人はすごく多いですね。まったく面識もない相手で、もともと関係などないのに、それでもつながりを切るのには抵抗がある。
人がつながりやすいのはSNSの利点でもありますが、問題点でもあります。ネットの世界では、人と人がつながりやすくなりすぎている面がありますので、心身の健康を保つためには、ある程度つながりを断つ練習が必要です。リアルの人間関係とはまったく違いますから、慣れや練習が必要でしょう。
フェイスブックなどで、まったく知らない人から友達申請やコンタクト申請が来たときなどは、よい練習になります。「何となく悪い気がする」という人もいますが、少しでも違和感を感じたら、迷わず削除/ブロックすればいい。もちろん、自分に攻撃をしかけてくる人などもってのほかです。
心地いい環境は自分でつくる
私たち人間は、大昔から「心地いい環境をつくる」ためにさまざまな工夫をしてきました。それは当然、SNSでも同じです。自分の心地いい環境をつくることは当たり前のこと。合わない人とは、無理に合わせる必要はありません。
現実社会では、どうしても合わない人と合わせないといけない場面もありますから、そのエネルギーはとっておいたほうがいい。SNSでいちいち悩むのはもったいない。
SNSには人とつながりを持てる、個人の力を感じられるという大きな利点があります。家でも職場でもない第三の居場所になる可能性もあります。だからこそ、それを一部の人に乱されるのは本当に残念なこと。いやな人には取り合わず、自分の居心地いい空間づくりを大切にしてほしいと思います。
構成=池田 純子
産業医・精神科医・健診医として活動中。産業医としては毎月30社以上を訪問し、精神科医としては外来でうつ病をはじめとする精神疾患の治療にあたっている。ブログやTwitterでも積極的に情報発信している。「プレジデントオンライン」で連載中。